どうしたらクルマが売れるか?...自動車販売店の「営業力」

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地域の顧客の特性を理解する

   これらの基本的な対応もさることながら、自分が担当する顧客の特性を理解することが大切だ。既存客のデータから10歳単位で、年代別構成比と平均年齢を出すと、高齢化に驚くはずだ、と指摘している。

   特に苦手と思う60歳以上のシニア層を理解するには、「自己主張が強くて、理屈好き」などの価値観を理解し、「傾聴姿勢でお客様の話を聞き逃さない」「ポイントを絞って説明する」「中途半端な受け答えは避ける」などの対応を示している。

   また、顧客層の若返りを戦略的に検討するなら、20~30歳代の既存客から同世代を紹介してもらうことも課題になる。

   フリー客には、先入観をもたずに対応することが大切だという。年齢や性別、所有車、服装などの見た目で、初めて来店した人を判断することを強く戒めている。

   自分が担当するエリアの特徴を把握することも重要だ。

   クルマ自体は季節商品ではないが、関連商品によって季節感を演出できるという。家電量販店やホームセンターの展示品を参考に、四季に合わせて関連商品を提案することができる。たとえば、花粉や紫外線への対策など、健康を販売テーマに提案をしてみるのもアリだし、地域の会社や工場の従業員向けにアプローチすることも提案している。

   ちなみに、マスク着用での商談がまだ続きそうだ。マスク着用でも正しく伝える工夫も心がけたいものだ。

・言葉と言葉を分け、間合いを取ってゆっくりと話す、
・聞き取れないときは聞き直して把握する
・通常時でも店内の音量確認と音量調整をする

   こんな注意点に挙げている。

   自動車に付随する関連業務についても詳しく解説している。さまざまな資料シート、キーワード別の営業トーク事例集、お客様向け手紙の記載事例集と、至れり尽くせりの内容だ。

   この1冊に書かれたことを実践すれば、自動車販売店の営業スタッフとして十分やっていけるだろう。一方で、自動車販売店の離職率が高いということが気になった。若者が以前のように車に乗らない、買わないようになったことも一因なのだろうか? 本書のテーマからは逸脱するが、原因は何だろうか? おもなターゲットがシニア層であり、年代のギャップが問題だとすれば、定年退職者を営業スタッフに導入するのも一手だと思った。(渡辺淳悦)

「コロナ共生時代の『営業スタッフの強化書』」
塚本晴樹著
日刊自動車新聞社
1760円(税込)

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