コクヨ株、2か月ぶり安値...主力オフィス家具低調による下方修正を嫌気

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   コクヨの株価が2022年11月16日の東京株式市場で前日終値比31円(2.3%)安の1753円まで下げ、これが終値となった。

   前日、2022年12月期連結決算の業績予想のうち、売上高や営業利益を下方修正したことが投資家の失望を呼んだ。その後、1800円台に戻したものの、反転の勢いは強くない。

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コロナ禍のオフィス再編一服...リニューアル需要の「目標未達」

   業績予想の修正内容をみておこう。売上高は従来予想より10億円少ない3060億円、営業利益は従来比15億円少ない193億円、経常利益は従来比10億円少ない222億円、最終利益は従来比21億円多い185億円。営業利益は、今回の修正で一転して、減益の見通しとなった。

   最終利益を上方修正したのは、文具メーカーのぺんてる買収に乗り出していたものの、撤退したことで、保有するぺんてる株を売却したという特殊事情があったから。

   その他の項目を下方修正した主因は、主力のオフィス家具事業の低迷だ。コクヨは「オフィスリニューアル案件の確保が一定程度は進んでいるが、目標には未達だ」としている。

   新築の案件も伸び悩んでいる模様だ。国内外の企業各社はコロナ禍で定着した在宅勤務により、余剰感の増したオフィスの再編に取り組んでいるケースが多かったが、その勢いに一服感が出ている可能性がある。

   ちなみに、コクヨの事業の柱を2022年1~9月期の売上高全体に占める割合で確認すると、オフィス家具事業が44.0%、法人向け文具等販売事業が30.0%、個人向け文具事業が20.1%、家具小売り事業が6.3%となってる。

   オフィス家具事業は半分近い主力であり、その動向は全社的な経営に影響する。

   そのオフィス家具事業は、2022年1~9月期連結決算において売上高は前年同期比5.1%減の1003億円、営業利益は17.6%減の127億円にとどまった。

   国内にとどまらず中国などでも事業展開しているが、特に中国ではコロナ感染の拡大によるロックダウンの影響を受けた。

ぺんてる株売却で、海外戦略見直し

   他方、最終利益の上方修正に貢献したぺんてる株売却だが、簡単に経緯を振り返っておこう。

   コクヨは2019年、ファンドを通じて、ぺんてるの創業家が手放したぺんてる株を取得。さらに株取得を進めて傘下に置こうとしたが、ぺんてる経営陣が反発。コクヨが敵対的TOB(株式公開買い付け)に踏みきると、ぺんてる側は事務用品メーカーのプラスに「ホワイトナイト」を依頼し、ぺんてる争奪戦に発展した。

   TOBでもコクヨのぺんてる株の保有は約46%にとどまり、事態が膠着するなか22年9月、コクヨはすべての保有ぺんてる株をプラスに売却すると発表していた。

   コクヨとしては欧州など海外に販路を持つぺんてるを取り込む方針だったが、海外戦略を一から見直す必要がある。

   予想された事態ではあったが、こうした点も足元で株価を軟調にさせているようだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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