支給しない企業「業績が悪化しており、そちらの対策が優先」
一方、インフレ手当を支給しない企業からは、こんな声が聞かれた。
「会社自体も電気代などのコストが上昇しており、それらすべてを製品に価格転嫁できていないなかで、社員に対して手当を出すことは難しい」(金属プレス製品製造)
「今年の昇給額を例年より高めに設定しているので、特別手当ては考えていない」(肉製品製造)
「一時金なら賞与、月額なら基本給に含めたほうが効果的と感じる。一過性の手当の場合は手当がなくなる時期の影響が心配」(ソフト受託開発)
「インフレで会社の営業収支が悪化しており、まずはそちらの対策が優先と考えている」(建築工事)
と、仕入れコストが上昇傾向にあるなかで自社業績が悪化しているため、従業員に金銭的な補填をする余裕がないという苦渋の声が多かった。
帝国データバンクではこうコメントしている。
「手当支給の目的として、物価高騰で実質賃金が低下する従業員の生活を下支えする、モチベーションアップ、人材の定着があげられる。ただし本来、物価の上昇分は特別手当でなくベースアップとして賃金に反映するのが望ましいであろう。
コスト上昇分をすべて販売価格に転嫁できず収益が低迷していることが、ベースアップや手当支給に踏み切れない1つの要因となっている。このため政府は、企業が価格転嫁しやすい環境の整備や賃上げを促す支援策の実行などが求められる」
調査は2022年11月11日~15日、インターネットでアンケートを行い、1248社社から有効回答を得た。そのうち大企業は168社(13.5%)、中小企業は1080社(86.5%)だった。(福田和郎)