「仕事だけが人生じゃない!」米国で広がる「静かな退職」 でも、アマゾン、メタなど「大規模リストラ」の波...「そこそこに」働きたい若者は生き残れるか?(井津川倫子)

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相次ぐリストラの嵐 「静かな退職ブームはもう終わっている」?

   「Quiet quitting」が広がるなか、管理職はその対応に苦慮しているようです。ネットで「how to stop quiet quitting」(静かな退職をやめさせる方法)といった「ノウハウ」を目にするようになりました。

   処方箋として挙げられているのは、従業員のモチベーションを上げる取り組みです。たとえば、「会社の長期ビジョンを共有しよう」といったものから、「Stop talking. Start listening」(一方的に話すことをやめて、彼らの話を聞こう)といったアドバイスなど。

   なかには、「Take a look in the mirror」(鏡に映った自分の姿を見ろ)など、耳の痛いアドバイスも。つまり、部下が「Quiet quitting」を選んでいるのは、彼らと働くモチベーションを共有できていない上司の責任だ、という苦言です。

   「Quiet quitting」がじわじわと広がりを見せるなか、早々と「The era of quiet quitting is already over」(静かな退職の時代はもう終わっている)という分析も現れました。

   米国の景気減速が懸念され、アマゾンやメタなど大手IT企業が続々と大規模リストラを発表。アフターコロナの「人手不足」時代は終わり、「売り手市場」から「買い手市場」に時代の波が動いている、という分析です。

   米国では、2022年に入り労働生産性が低下していて、その原因が「在宅勤務」や「Quiet quitting」にある、という見方が経営者側に広がっています。

   ツイッター社を買収したイーロン・マスク氏が「在宅勤務終了」宣言をしたのもその一環だとされていますが、「quiet quitters」(静かな退職を選んだ人たち)にとって、現状が保証されるとは限りません。

   「Quiet quitting」は「さぼり病」だ、と捉える人も多いことから、リストラになったら真っ先にターゲットになりそうです。アマゾンやメタで働いていたような優秀な人たちなら、リストラされても次の職場が見つかるでしょうけど、一般的なビジネスパーソンは失業率が上がったらどうなるのでしょうか。

   キャスティングボードを握っているのは、従業員なのか、経営者なのか...。「quiet quitters」対「経営陣」の戦いがどう展開していくのか、その行方が気になります。

   それでは、「今週のニュースな英語」「Quiet quitting」(クワイエットクイッティング)に関連した表現を紹介します。アツアツのトレンドワードですので、覚えておきましょう。

quit(辞める、辞職する)

quiet quitter(クワイエットクイッティングを実践する人)

Quiet quitting is gaining attention
(静かな退職が注目を集めている)

Quiet quitting has started as a TikTok trend
(静かな退職は、TikTokのトレンドとして始まった)

   物価は上がるけど給料は上がらない。不動産バブルで持ち家なんて夢のまた夢。あくせく働いて自分を見失うより、プライベートライフを大切にしたい...。米国の若者だけでなく、遠く日本にすむビジネスパーソンにもグイグイ刺さります。

   それでも、なかなか減らない仕事量。つい、「Quiet quitting が出来る人は恵まれた人たちなのかな」と思ってしまった私は、時代遅れなのでしょうね。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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