マクドナルドが立ち直ったワケ...「黒歴史」直視した異色の「社史」

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異変に気付かず、低迷期迎える

   同書が、普通の「社史」と異なるのは、この後の「黒歴史」とも呼べる低迷期について、しっかりと分析、記述していることだ。

   2000年代は「赤字決算の連続とビジネスモデルの転換」から始まった。マーケットシェア拡大からの転換、フランチャイズ化の促進と戦略的閉店、新しい調理システムの全店導入を進め、2008年に国内外食産業で初めて売上5000億円を突破した。

   しかし、「数字の上では好調を維持していましたが、その実、さまざまな面でバランスが崩れ、2011年には全店売上高が対前年でマイナスに転じました」と書いている。

   きっかけは東日本大震災だったが、その他の「異変」にも気づいていなかった。

   2014年、中国で保存期限の切れた鶏肉を出荷していたことが報道された。日本には輸出されていなかったがダメージを受けた。さらに2015年、チキンマックナゲットなどに異物が混入していた問題が発生。

   こうした2つの出来事が立て続けに起きたことで、マクドナルドの品質に対する顧客の信頼は失墜。2014年、2015年の2年間で売上が一気に1300億円も減少したのだ。

   停滞は2011年、2012年、2013年と続いていたが、その原因がわからなかったという。

   この時期、カウンターメニューを廃止したが、反発を招いて復活。また、会計から商品の受け渡しまで60秒を超えたら、ハンバーガーなどの無料券を進呈するというキャンペーンを行ったが、「従業員がかわいそうだ」と批判を浴びるなど、ブランドに対する不信感が生まれた、と見ている。

   顧客満足度が落ちていることを見過ごしていたのだ。

   既存店舗への投資から軸足が離れていたため、「全体的に少しずつ、店舗のモダンさと清潔感が失われていきました」と反省していることも印象的だ。

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