今年の「RJCカーオブザイヤー」は、日産「サクラ」&三菱「eKクロスEV」! もしかして「日本カー・オブ・ザ・イヤー」とダブル受賞あるか?

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   自動車評論家らでつくる「自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)」は2022年11月9日、今年の「RJCカーオブザイヤー」に日産自動車の「サクラ」と三菱自動車の「eKクロスEV」を選んだ。いずれも両社が共同開発した軽の電気自動車(EV)で、姉妹車の同時受賞となった。

  • 三菱自動車工業の軽EV「eKクロスEV」(プレスリリースから)
    三菱自動車工業の軽EV「eKクロスEV」(プレスリリースから)
  • 三菱自動車工業の軽EV「eKクロスEV」(プレスリリースから)

受賞理由は「実用EVとして高い完成度」 トヨタ「bZ4X」は「6ベスト」圏外

   RJCは「日本の交通事情にマッチした軽規格のボディサイズに、日常使用で十分以上の走行距離、滑らかな加速やきびきびとしたハンドリング、上質な内外装、最新の安全装備を備え、実用EVとして高い完成度を誇る」と、受賞理由を説明。「幅広いユーザーに手の届く車両価格も実現し、EVの普及促進に弾みをつけるモデルとして評価した」ともコメントした。

   国産車部門の順位と得点は、1位の日産サクラと三菱eKクロスEVが175点、2位はスズキアルトで140点、3位はマツダCX-60で108点、4位はスバルWRX S4で100点、5位は日産アリアで77点、6位は日産エクストレイルで72点だった。この6台をRJCは今年の「6ベスト」と呼び、高く評価した。

   今回は6台中3台を日産が占め、トヨタ自動車とホンダが入らなかった。

   日産アリアはリーフ以来、同社が社運をかけて投入した本格EVだ。RJCはサクラと並び、アリアを高く評価する一方、トヨタがスバルと共同開発した本格EV「bZ4X」(スバルソルテラは姉妹車)は発売後に不具合が起きたせいか、「6ベスト」圏外にした。

「日本カー・オブ・ザ・イヤー」と「RJCカーオブザイヤー」の違いとは?

日産自動車の軽EV「サクラ」(プレスリリースから)
日産自動車の軽EV「サクラ」(プレスリリースから)

   年末恒例の日本の「カーオブザイヤー」は現在、著名な賞が二つある。「走り重視」の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」と、「実用性重視」の「RJCカーオブザイヤー」だ。

   1980年に始まった日本カー・オブ・ザ・イヤーは、自動車雑誌の出版社などが実行委員会を作って運営している。選考委員にはレーサーやラリードライバー出身のモータージャーナリストや自動車評論家が多い。このため、実用的なファミリーカーよりも、その年に発売され、話題となったスポーツカーやSUV、高級車が選ばれることが多い。

   一方、RJCカーオブザイヤーは、NPO法人のRJCが主催する。メンバーは学識経験者や技術者のほか、レーサー出身でないモータージャーナリストや自動車評論家が多い。

   かつて日本カー・オブ・ザ・イヤーは「メーカーの接待づけ」が問題となり、これを批判した自動車評論家らが1991年にRJCを発足させた。RJCは日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考が「運動性能に偏重している」と批判した経緯がある。

   この傾向は、過去の受賞車を見ると歴然としている。日本カー・オブ・ザ・イヤーには軽自動車の受賞が一度もないのに対して、RJCは軽が何度も受賞している。

日本カー・オブ・ザ・イヤーは「10ベスト」決定...最終選考は12月に

   この点、今回のRJCカーオブザイヤーは首位と次点が軽で、わかりやすい結果となった。唯一、これまでのRJCの路線とやや趣が異なるのは、4位のスバルWRX S4だろう。WRX S4は「走り」重視のスポーツセダンだ。

   一方、今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーは第一次選考が終わり、48台の中から上位10車が「10ベストカー」(10位の得点が同数のため実際は11台)としてノミネートされている。この中には、日産サクラと三菱eKクロスEVのほか、スズキアルトも含まれている。

   このほか、10ベストカーにはトヨタクラウン、日産エクストレイル、日産フェアレディーZ、ホンダシビックe:HEVとタイプR、マツダCX-60が名を連ねている。外国車はBMWiX、ヒョンデIONIQ5、ランドローバーレンジローバー、ルノーアルカナの4台だ。

   流行のSUVやEVが多いのは時代の流れといえるが、やはりスポーツカーや高級車が多いのが特徴だ。

   日本カー・オブ・ザ・イヤーの最終選考は12月8日。

   軽のEVとして今年のヒット作となった日産サクラと三菱eKクロスEVは最有力候補のひとつなのは間違いない。RJCとダブル受賞になるか、それとも棲み分けるのか、注目される。(ジャーナリスト 岩城諒)

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