全国旅行支援とインバウンド需要増加に期待できるが...
こうした結果をエコノミストはどう見ているだろうか。
「今回の数値自体はそう悪い数字ではなく、すぐに景気後退を表わすわけでない。ただ、年末から来年にかけての世界経済後退が懸念される」
ということが、大方のコンセンサスのようだ。
ヤフーニュースのコメント欄では、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏がこう解説した。
「最大の下押し要因は実質輸入の増加であり、民間在庫もマイナス寄与なので、国内需要が旺盛というとらえ方をすれば、そこまで悲観することもないという見方もできます。
しかし、構造的にはそれだけ輸入に頼らざるを得ない輸入依存度の高さが露呈されたとも見られます。いずれにしても、国内自給率の向上が課題というのが良くわかる結果と言えるでしょう」
同欄では、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員の小林真一郎氏が、
「サービス輸入の急増という一時的な要因によってマイナス成長に陥りましたが、内需寄与度はプラスを維持しており、景気が緩やかに持ち直している状態に変わりはありません。
ただし、感染第7波の拡大を受けて行動を自粛する動きが出たことや、耐久財などへの支出が物価高の影響で低迷したことから個人消費の増加は小幅にとどまっており、物足りなさを感じる結果となりました」
と指摘した。
そして、今後の経済情勢に、「明るい材料」と「悪い材料」があるとみている。まず、「いい材料」については――。
「設備投資は高い伸びとなり、企業の設備投資意欲が強いことが改めて示されました。10~12月期は、(1)全国旅行支援の影響もあって、個人消費が対面型サービスを中心に堅調に増加する、(2)水際対策緩和によりインバウンド需要の増加が見込まれる、(3)企業の設備投資は引き続き底堅い、などの理由によりプラス成長に復帰する見通しです」
と説明。一方、「悪い材料」については――。
「ただし、(1)海外経済の悪化、(2)物価上昇による個人消費の悪化などの下振れリスクもあり、先行きは依然として楽観視できる状況ではありません」
と懸念を表明した。