年金改革の議論始まる、2025年の見直しに向けて 厚労省、「三つの改革案」検討...それぞれのメリット、デメリットは?

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国民年金保険料の支払い期間、45年へ延長など検討

   1つ目の国民年金の保険料を支払う期間の延長は、現行の40年から45年に5年延ばす案が従来から議論されてきた。

   それによる給付水準について、厚労省は2019年の前回財政検証の際の試算で、約30年後の給付は約3割減から約2割減に抑えられるとしている。ただ、保険料は5年分100万円を追加で払うことになり、一人一人の老後の生活設計に影響が及ぶだけに、スンナリとはいかない。

   2つ目は財政に比較的余裕がある厚生年金で、国民年金を助けようというものだ。

   現在のマクロ経済スライドでの給付の抑制は、財源が逼迫している国民年金については2047年まで、厚生年金は25年までと差がある。

   国民年金に計画通り適用を続けると、年金給付が減りすぎるのはすでに書いた通り。国民年金のマクロ経済スライド適用を早期に打ち切って給付の目減りを抑える一方、厚生年金の適用は逆に延ばし、帳尻を合わせようという考えだ。

   具体的に、国民・厚生年金ともマクロ経済スライドの適用を33年度までで一緒に終える、といった案が取り沙汰されている。

   この案の場合、高所得の会社員世帯を除き、大半の世帯は厚生年金が減る以上に国民年金が底上げされるため、給付水準はむしろ上がるという。

   ほとんどの人が恩恵を受ける夢のようなアイデアにみえるが、問題はその場合の負担だ。

   国民年金の給付の半分は国庫負担で補うと決まっているため、国民年金が増えれば税金からの投入額が膨らむ。厳しい財政事情が続く中で、財源確保は難題で、消費税率引き上げも含め検討することになりそうだ。

   3つ目は、パートなどの厚生年金加入義務がある企業の要件拡大だ。

   企業規模の要件が22年10月から「101人以上」に引き下げられたが、さらに引き下げ、最終的に要件を撤廃する方向で検討を進める見通し。ただ、保険料は労使折半であるため、中小企業には負担が重いとして、経済団体の反発は大きい。

   議論は始まったばかり。向こう2年、年金見直しの動きから目が離せない。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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