年金制度の改革に向けた議論はどんな方向に進むのだろうか。
5年ごとに見直す年金制度の次の改革は2025年。これに向けた検討が社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)で22年10月末にスタートした。
保険料の納付期間の延長、厚生年金から国民年金への「補填」や国庫負担増などが主要テーマで、国民負担増もからむだけに、難しい議論になる。
現役の働く世代が納める保険料で、その時点の高齢者に年金を払う仕組み
公的年金の制度は難しいので、やや長くなるが、制度の基本をおさらいしておこう。
大きく、自営業者や非正規労働者などが入る国民年金と、主に会社員や公務員などフルタイムの働く人が入る厚生年金に分かれる。
国民年金の保険料、年金は時々で微修正されるが、現行は月約1万6590円の保険料を20~59歳の40年間満額納付した場合、65歳から月額約6万4816円の年金を生涯受け取れる。
厚生年金の保険料は月収(標準報酬月額)の18.3%(労使折半で負担)で、働き手の負担は月8000~5万9000円程度。給付される年金は「2階建て」になっていて、国民年金と同等の基礎年金(1階)に、2階の報酬比例部分が上乗せされ、1・2階合わせて平均月額約14万6000円。
自分で納めた保険料を後で受け取ると誤解している人もいるが、今の仕組みは現役の働く世代が納める保険料で、その時点の高齢者に年金を払うのが基本。このため、高齢者が増える一方、少子化で現役世代が減っていくなかで、従来通りの年金を払おうとすれば、現役の保険料負担はどんどん重くなり、負担を変えなければ将来世代の年金は大幅に少なくなる。