「年収400万円正社員やめて専業主婦に」女性の投稿が炎上! 仕事に疲れ、小4娘に母親らしいことしたい「もったいない?」「やめてもいい?」...専門家に聞いた(1)

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「年収400万円の正社員をやめて専業主婦になり、小4の娘に母親らしいことをしてあげたい」

   48歳の女性の投稿が炎上気味になっている。家から10分、残業ナシ、人間関係良好の申し分のない職場だが、女性はヘトヘトに疲れていた。

   ママっ子の娘と一緒にいる「最後の母娘時間」を持ちたいというのが願いだが、「もうすぐ反抗期を迎えるというのにもったいない」「みんな不調を抱えながら頑張っているのだから」とやめないでコールの大合唱だ。

   女性は働き続けるべきか、それとも......。専門家に聞いた。

  • 娘が親離れするまで母親らしいことをしたい(写真はイメージ)
    娘が親離れするまで母親らしいことをしたい(写真はイメージ)
  • 娘が親離れするまで母親らしいことをしたい(写真はイメージ)

「小4の娘が可愛くて、親離れする前に母親らしいことしたい」

   話題になっているのは女性向けサイト「発言小町」(2022年10月22日付)に載った「兼業主婦もう限界? やめたい」というタイトルの投稿だ。ざっとこんな内容だ。

「現在48歳。子どもは中学1年生(男子)と小学4年生(女子)です。製造の会社でパートから正社員になり7年ほど働いています」

   投稿者によると、「更年期にも突入し、毎日クタクタで疲れ切って」いるという。また、疲れからか、全身に蕁麻疹(じんましん)や耳の不調などの症状も。更年期症状も疑われるところだ。

職場の雰囲気は申し分なく良好だ(写真はイメージ)
職場の雰囲気は申し分なく良好だ(写真はイメージ)

   もっとも、職場は羨ましいほど好条件のようだ。会社は家から10分の距離。残業はほぼなく、5時半に家に着く。年収約400万円。人間関係も悪くなく、仕事内容も問題ない。年上の夫は年収約約1300万円。ただし、住宅ローンがあり、息子が私立中学に通っているため、老後資金を貯めたいが余裕はない。

「まだ小学4年生の娘が可愛くて、この子もしだいに親離れするなら、今もっと一緒にいて母親らしいことをしたいなとすごく思うようにもなっています」
「一緒に出かけたり、手作りおやつつくったり、夕飯一緒に作ったり、そういったことをゆったりしたい。とても、ママっ子で、べったりの子です。でも、べったり張り付いてくれているのも今のうちですよね?」

   夫の家事は、食事の片づけとゴミ出しくらい。もっとやってと頼むと、ケンカになる。いっそ自分が専業主婦になって、すべてやれば夫にムカつくこともなく、家庭が平和でいられるとも考えてしまう。

「今とてもいい条件で働いていることはわかっていて、やめたら今以上の会社はないと思っています。でも、もう疲れ果てました。もう、やめて専業主婦になりたいです」

   悩みを訴えるのだった。

「母親がウザクなる娘のために好条件の仕事を捨てるの?」

心身ともに疲れが...(写真はイメージ)
心身ともに疲れが...(写真はイメージ)

   この投稿には、「好条件の仕事なのにもったいない」「考え方が甘い」「みんな心身に不調を抱えながら頑張っている」という厳しい意見が多かった。

「どのように就労継続できるのかを考えるべきです。体調不良に関しては、受診してください。耳鼻科と皮膚科ですね。辞める言い訳に使わなくていいように。皆さん、心身のメンテナンスをしながら頑張っています。(中略)甘いです」
「今の仕事を手離してしまえば、確実に後悔することになります。後1年もしないうちに思春期が始まって、母親がウザクなる娘のためにそんな良い条件の仕事を捨てる必要はないと思います。(中略)早まったことはしないほうがいいですよ」
「世の中の大抵の主婦は、自分が仕事を辞めても大丈夫な稼ぎの夫を持っていません。だったら最初から専業主婦をやっているでしょうからね。あなたの状況プラス義親の介護に追われている人もいます。(中略)自分だけが大変だなんて思わないで下さいね」
「私は既に50代半ばですが、アラフィフの頃が一番疲れていたように思います。当時子どもたちは既に大学生と高校生になっていましたが、それでも毎日クタクタでしたよ。(中略)ただ更年期に関しては、極端に生活を変えてしまうのも良くないように思います。私も同じような悩みから一度専業になったのですが、家でのんびりしていると、むしろ体調不良が気になってしまう。結局、専業であった2年余りを、病院を探している状態で過ごしました」

「自分の気持ちに蓋をするから、身体がSOSで訴えている」

疲れの原因を医師に診てもらおう(写真はイメージ)
疲れの原因を医師に診てもらおう(写真はイメージ)

   一方、体がSOSを出しているのだから、「まずは病院に行こう」「外部業者を雇って家事の負担を減らそう」というアドバイスも多かった。

「正社員だから、医師の診断があれば療養休暇といった道もあると思います」
「疲れだけの問題ではないかもしれません。きちんと受診することをお勧めします。そのうえで、診断書をもらって、一時的に休職や時短勤務などをさせてもらっては? 辞めたのに症状が改善されないのでは、意味がありませんから。誰でも、その条件の仕事なら辞めるのはもったいないと思いますよ」
「あなたが自分の気持ちに蓋をするから、身体がSOSで訴えていると思います。そのSOSに本気で寄り添ってみると、いかに自分が自分に負荷をかけていたか気づくと思います。まずは、エステでも、整体でもいいから、身体のメンテナンスをしましょう。まずは心の声から聞きましょう。温泉とかもいいかも」
家事代行を頼む手もある(写真はイメージ)
家事代行を頼む手もある(写真はイメージ)
「外部業者を雇って週何回か家事に入ってもらうとか、ミールキット(レシピと食材がセットになった宅配されるアイテム)など使って御飯の支度を楽にしてはいかがですか?」
「便利家電等は導入されていますか? ルンバ、食洗機、ホットクック(材料と調味料を入れてボタンを押すだけの自動調理家電)、洗濯乾燥機等すべて導入して、洗濯物等はお子さんたちにも自分のものは自分でやってもらうようなスタイルにしては?食事作りも平日はホットクックをフル活用すれば結構手間を削減できますよ」

「ファイナンシャル・プランナーに資産形成を相談しよう」

ファイナンシャル・プランナーに相談しよう(写真はイメージ)
ファイナンシャル・プランナーに相談しよう(写真はイメージ)

   また、会社と交渉してパートや時短勤務に替えてもらったり、本当に辞めて大丈夫なのか、ファイナンス・プランナーに相談して今後の資金計画を立てたりしては、という実践的なアドバイスも寄せられた。

「自分なら夫の給与が下がる年を想定したうえで、ファイナンシャル・プランナーに相談に行きます。そして子ども2人の大学卒業までに現在の夫の所得のみでの資産形成で、老後資金がどれぐらい見込めるかを試算してもらって、足りない額を計算します。それによって、やっぱり正社員を続けようとか、パートでも大丈夫そうだな、というのが自ずと導き出されるからです」「ロジカルに説得できる材料を揃えて、あなたが心身ともに辛くない毎日が送れるように(夫に)プレゼンするのが双方にとってよいかと思います」

   一方、少数派だったが、「自分の人生、好きに生きてください」と辞めることに共感を寄せる意見もあった。

「『今もっと一緒にいて母親らしいことをしたいなとすごく思うようにもなっています』。この気持ち、とても大切だと思います。今の時代、お金って結構やりくり次第で節約できます。(中略)それより後悔のないように生きることのほうがずっと重要です。綺麗ごとではなく。体をお大事に」
「私もボロボロになって辞めました。『辛いならいつでも辞めな』と言ってくれた夫には感謝しかないです。辞めてからしばらく病院通いで、治療費もだいぶかかりました。そういえば、辞める時に取引先の男性から『いいよな~、女は辞められて』って嫌味言われたのを思い出しました」

更年期女性の75%「体調不良で本来の力出せない」

更年期で疲れてしまい...(写真はイメージ)
更年期で疲れてしまい...(写真はイメージ)

   J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、年収400万円の正社員を辞めて専業主婦なりたいと訴える女性の投稿をめぐる論争について、女性の働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。

――今回の投稿と回答者たちの意見を読んで、率直にどのような感想を持ちましたか。

川上敬太郎さん「まずは全身に蕁麻疹(じんましん)が出るなど、投稿者さんが体調を崩されていることが心配です。お子さんたちがいて、夫は高年収で、ご自身も正社員として400万円の年収がある。
はたからはとても恵まれている環境に見えるだけに、厳しい回答もたくさん寄せられているようです。しかし、投稿内容を拝見する限り、投稿者さんはつらそうで追い込まれているように感じます」

――背景には、はたから見てうらやましい職場を辞めてまで「娘と一緒に過ごす時間を持ちたい」という葛藤と、おそらくは更年期の症状に悩みながら働く女性の問題があるようです。川上さんが研究顧問をされている、働く女性の実態を調べる「しゅふJOB総研」で、更年期の働く女性の調査をしたことがありますか。

川上敬太郎さん「主婦層を中心とする就労志向のある女性に、更年期症状が原因で仕事において不利な状況が生じていると感じたことがあるかを尋ねたことがあります。

◇更年期症状は、女性の仕事にどんな影響を及ぼしているのか?

その結果、56%の女性が『ある』と回答しました。さらに、『ある』と回答した人にどのような不利が生じているかを聞くと、75%の人が『体調不良で本来の力が出せない』と答えています。
また、『イライラして精神が不安定になり、周囲と軋轢が生じやすい』とか『怠けているとか、やる気がないとか、誤解を受けやすい』などと答えた人も51%いました」

   今回の話題について、川上さんのアドバイスも熱を帯びました――。<「年収400万円正社員やめて専業主婦に」女性の投稿が炎上! 仕事に疲れ、小4娘に母親らしいことしたい「もったいない?」「やめてもいい?」...専門家に聞いた(2)>に続きます。

(福田和郎)

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