日銀の国債保有割合が高いと、金融引き締め策への政策転換の手足縛る
日銀が保有している国債については、償還まで保有することで日銀の財務上は大きな影響はないものの、発行された国債の半分以上を、市場からの買い入れとはいえ、日銀が保有していることは、財政法が禁じている日銀による国債等の直接引き受け(財政ファイナンス)に等しい。
さらに、国債の50%以上を日銀が保有している状況は、国債市場の流通量の減少とともに、国債の市場価格の形成を阻害し、国債市場の健全性を大きく損なっていることは間違いない。 また、米欧が金融引き締め(利上げ)に金融政策の舵を切ったのに対して、日銀は金融緩和策を継続しており、国債残高の増加は政府の国債費の増加問題も含め、日銀の金融引き締め策への政策転換の手足を縛ることになる。
なお、普通国債は2022年度当初計画の未発行分と、第1次補正予算、第2次補正予算での発行を合わせ、まだ約30兆円の発行が見込まれている。これらが計画通りに発行されれば、国債の発行残高は2023年3月末には1042.4兆円になる見通しで、1000兆円を超えることになる。
政府の財政財源として、赤字国債を含めた国債発行による姿勢に変化がない限り、国債発行残高は今後も増加を続け、国の借金は膨らみ続けることになるだろう。