1ドル=138円!「円高サプライズ」は吉か、凶か? エコノミストが指摘...クリスマス前祝に沸く米市場に同調は禁物、米経済減速はさけられないから

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日本の為替介入は成功という評価か?...そして、米国へのクリスマスプレゼント

結果的に為替介入が成功した?形の財務省
結果的に為替介入が成功した?形の財務省

   ところで、急激な円高ドル安は日米両政府にとって「恵み」をもたらしたと評価するのは、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏だ。

   熊野氏はリポート「逆CPIショック~一変する米引き締めと日本経済への影響~」のなかで、日本政府に関してこう述べる。

「実は、この『逆CPIショック』【図表3参照】に絶大な恩恵を受けるのは日本である。まず、政府・日銀の為替介入は、成功したという評価になるだろう。(中略)突っ走る円安の頭を押さえて、方向転換のタイミングまで効果を持続させた」
(図表3)米国の消費者物価指数(第一生命経済研究所の作成)
(図表3)米国の消費者物価指数(第一生命経済研究所の作成)
「政府の物価対策にも恩恵は大きい。日本の消費者物価は10~12月は3%台半ばで推移するだろう。しかし、今回の円安修正で1~3月以降は徐々に輸入物価上昇の圧力を下げることができる。1月からは政府の電気代・ガス代の価格引き下げの効果も表れる」

   一方、米国にとってはどんな「メリット」があるのか。

「バイデン大統領が再選をかけて、インフレ対策に熱心に取り組まなくてはいけない図式が強まることだ。(トランプ氏が11月15日に出馬表明をすれば)2024年の選挙を見据えて、2023年中のインフレ沈静化を確たるものにしたいと、バイデン大統領は考える。その仕事はFRBに任される」
「もしも、インフレ率が高原状態を続けるとすれば、FRBは果敢に引き締めを行って、米国経済の景気後退リスクは高まるはずだ。このリスクは今も高いと筆者はみている。しかし、10月の消費者物価が鈍化し始めたのをみると、引き締め過ぎになるリスクは若干ながら後退した」
次期大統領選を目指し、インフレ退治が迫られるバイデン大統領(ホワイトハウス公式サイトより)
次期大統領選を目指し、インフレ退治が迫られるバイデン大統領(ホワイトハウス公式サイトより)

   これは、株式市場にとってはめでたいことだったと熊野氏は指摘する。

「株式市場にとっては、感謝祭から2022年冬のクリスマス商戦が始まる手前に、早めのプレゼントを受け取ったようなものである」

   やや皮肉を込めて結んだ。(福田和郎)

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