米国経済の減速は鮮明、あまりの楽観は禁物
同じく「円安のピークは過ぎた」とみるのは、三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。
ただし、市川氏はリポート「10月米CPIを受けた長期金利低下、ドル安、株高の持続性について」(11月14日付)の中で、「これから米国のインフレは鈍化するが、米経済の減速が始まるので、過度の楽観は禁物」として、今後の展開をこう予想する。
(1)この先、米CPI(消費者物価指数)の伸びは緩やかに鈍化し、2023年10~12月期は前年同期比プラス3.6%に落ち着く。
(2)米失業率は緩やかに悪化し、2023年10~12月期は4.8%に達する。
(3)FF(フェデラル・ファンド)金利は2023年3月に4.75%~5.00%に達し、2023年いっぱいは据え置かれる。
(4)その結果、米実質GDP成長率は、2023年1~3月期から7~9月期まで、前期比年率で1%を下回る低い伸びが続く。
つまり、景気後退期に入るというわけだ。そして、市川氏はこう結んでいる。
「米国株についても、短期的な揺り戻しは想定されるものの、(中略)ダウ工業株30種平均、S&P500種株価指数、ナスダック総合指数は、テクニカル・リバウンド(いわゆる、『あや戻し』と言われ、下落傾向にある相場が明確な理由もなく一時的に少し上がること)が続いています。(中略)米国経済の減速傾向はこれから鮮明になる公算が大きいことを踏まえると、過度に楽観することは難しいと思われます」