「特にありません」。促しても、改善提案をしてこない部下...どう育てる?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE15(後編)】(前川孝雄)

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部下の不満から、提案に導こう!

   また、すこし高度な手法ですが、私が前職で実行していた「不満吐き出し大会」を紹介しましょう。さまざまな人が集まっている以上、社員が組織の方針や仕事の進め方、人間関係などに少なからず不満を抱くのは当然です。

   この「大会」は、その名の通り、メンバー一人ひとりが感じている不満を吐き出してもらい、全員で共有する会。不満を「可視化」しきったあと、最後に改善策を一緒に考え、みんなで気持ちよく働ける職場環境を作ることが目的です。

   この会は、上司と部下の間で信頼関係ができていないとうまくいきません。事前に上司が個別面談などでメンバーの希望や不満をある程度把握し、どのような場になるかイメージしたうえで開催します。

   開始前には、「他人の意見を批判しない」「言いたいことはこの場で、立場の上下は関係なく吐き出す」というルールを明示します。メンバーから出た不満は「会社や上司に対するもの」「組織に対するもの」「仕事内容・サービスに関するもの」に分け、それらの不満が解消可能か、そのための具体策を検討します。

   困難な課題でも、できる限り改善の方法を探り、上司の責任で実現できることには責任を持って改善するとメンバーに約束し、実行するのです。そうすると、部下は上司や組織が自分たちの提案や意見に耳を傾ける本気度を実感できるのです。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版、2020年10月)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。

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