2022年11月1~2日(現地時間)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、4会合連続で0.75%幅の利上げが決まった。影響を受ける暗号資産市場は今後、どうなるか――。北海道大学の花野直樹さんは、自身の戦略とともに、分析してくれた。
一方、明治大学の城正人さんからは、Meta(元・Facebook)が11月3日に発表した、Instagram(インスタグラム)上でNFTの作成・売買機能を搭載するという話題についての解説記事をお届けする。
仮想通貨は強い! 年末までは大荒れ注意か(北海道大学 花野直樹)
今週はトレードに関してはノーポジでした。ではいつも通り、仮想通貨と連動する株価指数と、今週あったイベントを振り返って行きたいと思います。
今後の値動きを考えるうえで重要なイベントは、FOMC(連邦公開市場委員会)だったと思います。FOMCの結果は、市場のコンセンサス通り、今月の利上げ幅は0.75%でした。
これ自体は織り込まれていたのですが、注目すべき点は今後の利上げペースで、ここ数週間の上昇相場は、そのペースが減速することを期待したものでした。では、今後の利上げペースはどうなるのか? 一言でいうと「今後の経済指標の結果次第」というものでした。
FOMCで株価は下落したものの、まだ高値圏内にあり、指標結果次第で株価は暴落もあり得るでしょう。また、逆に、インフレが落ち着くようであれば、年末にかけてどんどん上昇していくこともあり得ます。
その暴落、上昇の条件となる重要な経済指標は次回のFOMCまでに、
11/8 中間選挙
11/10 10月CPI(消費者物価指数)
12/1 10月PCE(米個人消費支出)
12/2 11月雇用統計 12/13 11月CPI
と、これだけあります。
この期間はボラティリティがかなり高くなることが予想され、指標結果は正直読めないので、今後新しくポジションをとるのはリスクの高いギャンブルだと思います。
◆今後の戦略は?
ここまでほとんど株の話になってしましましたが、ここからは仮想通貨の話をしたいと思います。
株に対しての仮想通貨の動きですが、株に比べてかなり強い値動きをしています。僕の予想では、インフレが悪化するような指標が出ない限り、仮想通貨はまだ上昇余地があるのではないかと考えます。
しかし、上で述べたように高いボラティリティが予想され、インフレが悪化するようなら金利が上がり、リスク資産である仮想通貨も大きく売られるためギャンブル性が高い期間が続きます。
よって今後の戦略としては、今あるポルカドットのポジションは保持しつつ、新しいポジションに関しては指標前にポジションをとるなどはせずに指標結果、株価の動きを見極めてからトレードをするように心がけたいです。
保有
6DOT 10月26日1DOT930円で買いエントリー
前週からの損益=プラス420円
11月4日現在=1万291円
◆池田昇太のワンポイントアドバイス
先週のFOMC(連邦公開市場委員会)では、予想通り利上げとなった影響か、仮想通貨市場は一時下落しました。その後は金曜から土曜にかけて上昇していき、今週(11月6日週)にはFOMC前と近い水準にまで価格を戻しましたね。直近の利上げについての影響は小さいため、おっしゃる通り、これからの利上げペースがどうなるのかが注目されているでしょう。
例年のS&P500の騰落率を確認すると、平均的に12月までに上がっている様子はみられますが、たしかに今後の指標によってはどうなるか不明確ですので、仮想通貨に手を出す前に株式市場を確認することは重要だと思います。
北大金融研究会の所属。ふだんはテクニカル分析を使った株式の短期トレードをしています。やるからには1位をとれるよう、頑張ります!
Instagram上でNFT発行が可能に!(明治大学 城正人さん)
Meta(元・Facebook)は2022年11月3日、Instagram(インスタグラム)上で、polygon(ポリゴン)ブロックチェーンを活用してNFTの発行、販売が可能となることを発表しました。
Metaは、米国の巨大テック企業いわゆる「GAFA」の中でも、最も収益力の劣る企業として扱われており、さらにYoutubeなどと異なりクリエイターが直接報酬を得るシステムが無いことも課題となっていました。
そんななか、Metaはメタバース事業に巨額の投資を行うなど、クリプト(暗号)関連事業を新たな収益の柱とすべく奮闘しているようです。
さて、今回NFTのデータ保存にMetaが利用するのは「Arweave(アーウィーブ)」という分散型ストレージプロトコル。プロジェクトに利用される「Arweaveコイン」はニュースが出て以来、60%ほどの大幅上昇を見せています。
今回は「安全に超長期間データの保管が利用可能とされるArweave」について、解説していきます!
●Arweaveとは
Areweaveとは、簡単に言うと、200年間の超長期間に渡ってデータを保管できるプロジェクト。
一般的に、NFTの画像データなどは、結局、AWS(Amazon Web Services=アマゾン ウェブ サービス)などのクラウド上に保管されていることも多く、大きな問題となっていました。
そこで、Arweaveでは分散的、かつ低コストで、データを保管できるシステムを模索しました。
その解決策としてPoA(Proof of Access=プルーフオブオーソリティ)という、新しい合意形成モデルを用いて解決しました。
PoS(Proof of Stake=プルーフオブステーク)は、ビットコインの用いているPoW(Proof of Work=プルーフオブワーク)に基づいており、これまでマイニングに注いでいた計算力をデータの保存に利用することに挑戦。
具体的には、以下の画像のようになります。新しいブロックを生成する際には、新たに保存したいデータに加え、一つ前のブロック内データ、そしてランダムに選ばれるリコールブロック2つ以上の過去のブロックに含まれるデータを保管することが必要になります。
実際には、リコールブロックとして利用されている回数が少ないブロックをリコールするなど、データ保存をより確実なものにしたマイナー(採掘者)に対しては、報酬が多く分配されるような設計など、さらに複雑なシステムのようです。
●Instagramとの相性は?
さて、実際利用する際「200年間編集も削除もできないという仕組み」は、一体どうなのでしょうか。もちろん全ての画像をNFT化して販売するわけではありませんし、どのように利用されるのかまだ見えてこない部分はあります。
たとえば、アーティストの新たな楽曲を公開した際の広告をNFT化し、取引可能にしたり、まだデビューしていない地下アイドルへの投資の一環として日々の活動写真をNFTとして購入し、人気が出て華々しくデビューした際に高値で売却したりする...なんてことも考えられます。
ただ、若気の至りでアップしてしまった画像をNFT化、販売、そして200年にも渡って保存されてしまうことになったら、なんだか気恥ずかしいので、注意して利用したほうがいいかもしれません。
●今週の取引
無し
保有資産
BTC 0.0002枚 現在1枚当たり3,115,000円 評価額は6,230円
保有現金 4,176円
前週からの損益=プラス58円
11月4日現在=1万406円
◆池田昇太のワンポイントアドバイス
インスタグラムでは、今年8月からNFTの投稿・閲覧が可能になり、最近になって作成・売買も可能になりましたね。対応するブロックチェーンはイーサリアムやポリゴン、フローに加えてソラナも加わる予定であり、今後は動画のNFTも投稿できるようになるとのことです。
ツイッターもそうですが、これからはSNSで仮想通貨・NFTを利用できる機会は増えていくように思えます。とはいえ、おっしゃる通り、ブロックチェーン上にデータを記録する際は注意が必要なので、利用する側の情報リテラシーも求められてきそうですね。
2021年に引き続き、出場します! 投資対象として仮想通貨に興味を持つも、その技術の持つポテンシャルに惹かれDapp開発に着手。投資家としてだけでなく、開発者としての視点からの投資戦略も立てていきます!
Twitter: https://twitter.com/dennoah_jo
※取引をお休み(東京大学 迫嵩明さん)
前週からの損益=プラス・マイナスゼロ
11月4日現在=1万円
学生投資連合USIC代表
高校3年生の時に株式投資のおもしろさに目覚める。日本株、米国株、仮想通貨投資を行う。長期的に伸びる市場でビジネスを展開している企業に長期投資することをモットーとしており、テンバガーを虎視眈々と狙っている。 金融を学ぶ「おもしろさ」、投資を始める「意義」を多くの人に知ってほしいと切に願う。
学生投資連合USIC:https://www.usic2008.org/
◆◆アドバイザーのプロフィール
フリーランスのWebディレクター。金融系メディアを対象に執筆やディレクター業務に従事。投資歴7年。FXと仮想通貨をメインにトレードしています。ファンダメンタル分析よりかはテクニカル分析を好む。最近はNFT(非代替性トークン)の詐欺事例、法的問題について関心あり。
大学対抗戦「暗号資産バトル」競技ルール
・元本は1万円。
・通貨の選定は自由。ただし、国内の事業者で買える暗号資産に限定。
・レバレッジはかけられません。
・20%を超えて下げた場合は、強制的に取引を停止(ロスカット)とする。
・元本割れは1回まで。2回、資産を失った場合は、その時点でリタイアとする。
・運用期間は6か月。最終週時点での資産増減額で順位を決める。
学生投資連合USIC
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
http://usic2008.com/