「ねえ、お金ってどうやったらもらえるの?」
6歳だった(これから紹介する書籍の)著者の問いに、曾祖父はこう答えました。
「人を笑顔にすることをしなさい」
最初からお金を儲けようとするのではなく、人が喜んだり楽しんだりすることを一生懸命やると、自然にお金はついてくる、ということです。
今回紹介する一冊は、映画会社の「大映」を一代で築き上げた、「明治」生まれの「昭和」の大物・永田雅一氏を曾祖父に持つ、永田雅乙さんの手による良書。おじいちゃんの膝の上で聞いたという、激動期を生き抜くうえで役立つ「帝王学」を実践的に解説したものです。
「激動期を生き抜く これからの帝王学」(永田雅乙著)秀和システム
子どものころ、友達とケンカして家に帰ると...待っていたのは「禅問答」?
円安や世界情勢の影響で、現在、日本では多くの商品が値上げされる物価高になっています。メディアでは値上げは「悪」とばかりに、街中インタビューなどで「値上げで家計が苦しい」「困っている」という意見を取り上げています。しかし、同じ出来事でも、どの立場で、どんな視点で捉えるかで、印象は異なるはずです。
「私の場合『もし、おじいちゃんが生きていたら、どんなふうに今の日本の状況を説明するだろうか』とも考えます。というのも、おじいちゃんは、私を想像力豊かな人間に育てようとしてくれていたから。『こうなると、どうなるか』ということを、いつも自発的に考えるよう仕向けていてくれたのです」(永田さん)
「子どものころ、友だちとケンカして帰宅すると、おばあちゃんから『どうしてケンカになったのか』ということを聞かれました。私が『〇〇くんが、僕にバーカって言うから叩いた。それで叩き返してきたからケンカになった』と答えると、おばあちゃんは『仲直りできたの? できてないの? 〇〇くんは今どんな気持ちだろう』と聞いてきます」(同)
永田さんが「多分イヤな気持ちでいると思う」と答えると、今度は「どうしたい? 仲直りしたいの? 仲直りしたいなら、どうしたら仲直りできる?」と質問をしてくるそうです。それから、回答を導き出したうえで、「おじいちゃんに話してごらん」という流れになるのだとか。
「その日の出来事と自分の気持ちを整理して話すと、おじいちゃんが『よくそこまで考えたな』とほめてくれる、ということが日常的にありました。不思議なもので、気分が悪かったケンカも、この禅問答のような会話をすると、なぜだか心地いいものに変わっていきました。自分の中で落としどころが見つかるという感覚です」(永田さん)