市場の「CPIガチャ」に怒るFedが持ちだすかもしれない論法とは?
藤代氏はリポート「いわゆる『CPIガチャ』が発生 Fedが怒るとしたら『新たな論法』が登場する可能性」(11月11日付)のなかで、米国消費者物価指数のグラフ【図表2】を示しながら、こう指摘する。
「来年には、いわゆる『前年の裏』、『ベース効果』によって前年比の数値に下押し圧力がかかるため、見た目のインフレ率は低下する公算が大きい。もっとも、Fed(米連邦準備制度)がそれを以ってインフレ沈静化と判断するかは予断を許さない。
パウエル議長は1970年代にインフレが何度もぶり返した経緯を踏まえ、インフレ沈静化に確信を持つまで金融引き締めを維持する構えを明確にしている。そうした意味では向こう数か月、インフレ率の鈍化を示す指標が相次ぎ、金融市場参加者の抱く金融引き締め警戒感が和らぎ、金利低下・株高が顕著になった場合、Fedがそれをよしとせず、金融引き締めを維持することを明確にするための、新たな論法を編み出すかもしれない」
それで、想定される「論法」として、「物価の水準」が考えられる。
「インフレ率の前年比伸び率が低下したとしても、水準はパンデミック発生前のトレンドを大きく上回っているため、それがパンデミック発生以前の経路に戻るまで金融引き締め姿勢を維持するとの説明が登場するかもしれない。正にアベレージ・インフレーション・ターゲティング(期間平均でインフレ率2%を目指す)に基づく考え方であり、もしFedがそれを完全に忠実な形で実現するならば、極端な話インフレ率が2%を下回ったとしても直ちに金融緩和に転じることはなくなり、政策金利は高止まりすることになる」