急激な円高は、ドルを買い持ちにしていた投機筋が多かったから?
一方、ヤフーニュースのコメント欄では、ソニーフィナンシャルグループのシニアエコノミスト渡辺浩志氏が、
「時期尚早な金利低下や株高は金融環境を緩め、インフレの沈静化を遅らせる恐れがあります。FRBは利上げペースを鈍化させつつも、政策金利を来年前半に5%超まで引き上げようとしているところ。それにより米国は来年後半にも景気後退入りの公算です。
株価の底入れは、市場が金利のピークと景気のボトムを織り込み、市場心理(PER)と企業業績(EPS)が十分に下がった後になるでしょう。その点、PERは年初来大きく調整しましたが、EPSの調整はまだこれから。インフレ率のみならず、雇用・賃金など幅広い指標で米景気を見極める必要があります」
と、来年米国が景気後退に入ることを思えば、金融市場は「ハシャギ過ぎだ」といさめたかっこうだ。
同欄では、一気に円高ドル安に大きく動いたことについて、時事通信社解説委員の窪園博俊記者が、
「大きな値動きになったのは、なおインフレ圧力の高止まりを警戒するムードから、ドルを買い持ちにしていた投機筋が多かったため、とみられます。また、(コンピューターを介して自動的に売買注文を行なう)プログラム取引で相場の値動きが増幅されやすい状況であったほか、チャート上の節目とみられた1ドル=145円を割り込んだことが、ドル安・円高に拍車をかけたと考えられます」
と背景を説明。今後の動きについては、
「当面は、今回のCPIを受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースが鈍化することへの思惑から、ドル円はなおドル売り・円買いが出やすい地合いが続くと予想されます」
とした。