転職先や副業として注目&大学側も求めている「実務家教員」になるには?

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17人の実務教員の体験談も参考に

   もっとも、実務家教員と言っても、その専門性や業界での働き方はまちまちだ。スペシャリストもいればゼネラリストもいる。実務経験もさまざまだ。そのうえで、2つの共通点を挙げている。

   1つは、各分野において十分な「専門領域のインプット」をしていること。これは単なる知識のインプットではなく、「当該領域の専門家として何らかのプロジェクトに主体的に取り組むことで得られる水準のインプット」を指すという。

   もう1つは、インプットを不断にアップデートしていることだ。ある実務家教員は大学に着任した際、「5年過ぎたら賞味期限が切れてしまうよ」と念を押されたそうだ。いっときの経験談だけで、ずっと食べていけるわけではないのだ。

   本書には、実務家教員としての「教育」「研究」「実務能力の更新」などの章があり、実務家教員になってからの歩み方にも触れている。

   17人の実務家教員へのインタビューがもとになっており、実務領域も国家公務員、メーカー、マスメディア、理学療法、看護、医学、キャリアコンサルタント、土木、建築、広告、企業内キャリア支援、品質管理など幅広い。

   本書をまとめた社会構想大学院では、2018年から「実務家教員養成課程」を開講。6カ月・61時間からなる本過程は、東京・大阪・名古屋・福岡を会場に9期まで開かれ、延べ450人が受講している。オンライン受講もできる。

   受講生の半数が50歳代、その次に60代が多いが、40代も22%、30代も5%いるそうだから、早くから実務家教員を目指す人がいることが分かる。

   業種としては、コンサルタント業、広告業、宿泊や飲食などのサービス業、製造業、教員、情報通信業、金融・保険業、小売業の順に多いという。

   評者の周辺にも第2のキャリアとして、大学の実務家教員になった人は少なくない。自分のキャリアを若い世代に伝承することは、やりがいのある仕事ではないだろうか。

(渡辺淳悦)

「実務家教員という生き方」
実務家教員COEプロジェクト編
社会構想大学院大学出版部
1650円(税込)

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