収益が拡大するのに、配当予想の据え置きは気になる
ここでJパワーという会社の概要をみてみよう。
もともとは1952年設立の「電源開発」。ちなみに、今も商号は「電源開発」で、「Jパワー」は「コミュニケーションネーム(愛称)」だ。当初から電源開発促進法に基づく国策会社で、全国的な電力不足を解消するため、大規模な水力発電所建設にあたるのが一番の任務だった。国内炭を燃料とする火力発電所も手がける。
オイルショックを経て、海外炭を燃料とする火力発電所を建設するなど、国内の電力需要をカバーしてきた。さらには、再生可能エネルギーや海外発電事業に注力するなど、徐々にその役割も変化。「官から民へ」を掲げる小泉政権のもと、2003年に電源開発促進法が廃止され、2004年には完全民営化して東証一部に上場した。
民営化から20年近くたち、再生可能エネルギーの開発にシフトしようとするJパワーには、かねてから投資家の関心が高まりつつあった。そのなかで、大幅な業績見通しの上方修正に、市場が歓迎したかっこうだ。
ただ、収益が拡大するのに、配当予想を据え置いた点を疑問視する向きもある。10%超の上昇の後、株価が伸び悩んでいる一因もこのあたりにあるようだ。
「市場の圧力を受けて2022年4~12月期連結決算を発表するころには、配当予想を上方修正するのではないか」(国内証券)と期待する見方もある。(ジャーナリスト 済田経夫)