月10万円の労働収入があれば、家計は十分に回る
定年後の支出額は定年前と比較して大きく減少する。そして、60代中盤以降は年金給付が受けられる。ここから導かれる結論は――。
◆「事実3 稼ぐべきは月60万円から月10万円に」
先の「家計調査」によると、仕事から引退した世帯の65歳から69歳までの収入額は、合計でおよそ月25万円となる。
内訳は社会保障給付(主に公的年金給)が月19.9万円、民間の保健や確定拠出年金などを含む保険金が月2.7万円、そのほかの収入が月2.2万円。
一方の支出額は32.1万円だから、収支の差額はマイナス7.6万円となる。だから定年後は年金に加えて月10万円ほどの労働収入があれば家計は十分に回る、というのだ。
時給1000円の仕事であれば、月に100時間働けばいい。1日8時間働くのであれば週3日勤務することになる。
ところで、定年後も実際に働いている人はどれくらいいるのだろうか。総務省「国勢調査」によると、2000年代以降、就業率は高くなっている。男性65歳では62.9%、男性70歳では45.7%で、働くことは「当たり前」になっている、と指摘する。