「スマホ依存」自覚する人、約7割! でも、「抜け出す必要ナシ」も半数...調査で判明 脳やメンタルへの影響を危惧、「治療」呼びかける医療機関も

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   家の中はもちろん電車内、仕事の合間、食事中、就寝前、そして歩きながら...と片時もスマートフォンを手放せないアナタ。「スマホ依存」、大丈夫?

   そんななかモバイル専門の市場調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2022年11月2日、「2022年スマホ依存と歩きスマホに関する定点調査」を発表した。

   「スマホ依存」を自覚する人が約7割に達し、うち半数が「抜け出す必要」を感じていることがわかった。一方、「歩きスマホ」については、9割が「危険だ」としながらも、年々、その意識が薄れていく傾向がみられた。

  • スマホを片時も離せない(写真はイメージ)
    スマホを片時も離せない(写真はイメージ)
  • スマホを片時も離せない(写真はイメージ)

「スマホが手元にないと落ち着かない」にご注意

   「スマホ依存」については、いくつかの医療機関のサイトで解説している。たとえば、東邦大学医療センター大森病院メンタルへルスセンター(イルボスコ)の「こころの病について」コーナーではこう説明する。

《スマホ依存とは、「スマートフォンの使用を続けることで昼夜逆転する、成績が著しく下がるなど様々な問題が起きているにも関わらず、使用がやめられず、スマートフォンが使用できない状況が続くと、イライラし落ち着かなくなるなど精神的に依存してしまう状態」のことを言います。
(中略)スマホ依存の人は、学校でも布団の中でも一晩中スマートフォンを手放せない状態になってから、家族や周囲の人に気付かれることが多いと言われています》
スマホ依存になっていませんか?(写真はイメージ)
スマホ依存になっていませんか?(写真はイメージ)

   具体的な状態についてはこんなケースを紹介する。

《スマホが手元にないと落ち着かない。一日中スマホに関することを考え、どうしても触ってしまう。メールやSNSを必要以上にチェックする(すぐに返信しないといけないと考えてしまう)。何気なくネットサーフィンや動画視聴をしていたら、気付くとかなりの時間が経ってしまっている。気付いた時にはお小遣い以上に課金していた》

   そして、

《依存状態にある人の脳の画像研究では、
・自分や相手の感情の読み取りに関わる部分
・注意力、記憶力などの認知機能に関わる部分
などが萎縮するといわれています》

として、「速やかな治療が必要」とも呼びかけている。

10代は「かなり依存」と「依存していない」...両極端の結果

   MMD研究所の調査はスマホを所有する15歳~69歳の男女559人が対象で、まず、「スマホ依存を自覚しているか」を聞くと、「かなり依存している」と答えた人が20.9%、「やや依存している」と答えた49.0%と合わせると、約7割の69.9%がスマホに依存していることがわかった=図表1参照

(図表1)スマホ依存の自覚の推移(MMD研究所の作成)
(図表1)スマホ依存の自覚の推移(MMD研究所の作成)

   性別年代別にみると、「かなり依存している」人は女性30代(32.7%)が最も多く、次いで女性10代(31.6%)、男性10代(同)、男性30代(30.0%)と続く。逆に「依存していない」人は男性60代(32.6%)が最も多く、次いで女性60代(30.4%)、男性50代(28.1%)、男性10代(26.3%)、女性10代(同.1%)と続く=図表2参照

(図表2)スマホ依存の自覚の性別年代別割合(MMD研究所の作成)
(図表2)スマホ依存の自覚の性別年代別割合(MMD研究所の作成)

   必ずしも年齢が高いほど「依存していない」人が減少するわけではなく、10代男女の「依存度」は20~40代より低いのが特徴だ。ただし、一方で、10代男女は「かなり依存している」人の割合も高い。10代は「スマホ・ネイティブ世代」だから、「スマホ依存」の問題を理解して使いこなす人と、理解せずに溺れてしまう人と、両極端に分かれるのだろうか=再び図表2参照

   スマホ依存にはさまざまな特徴的な状態がある。「代表的な12項目のうちあてはまることがあるか」を聞くと(複数回答可)、「ちょっとした待ち時間にスマホをいじる」(57.6%)と「寝るとき、スマホを枕元に置いて寝る」(56.2%)が突出して多い2トップとなった。

   次いで、「情報収集源のほとんどがスマホ」(43.3%)、「スマホ無しで1日を過ごせない」(41.1%)、「移動中スマホを持ち歩き、チェックしている」(35.8%)となった=図表3参照

(図表3)スマホ依存チェック(MMD研究所の作成)
(図表3)スマホ依存チェック(MMD研究所の作成)

「歩きスマホ」への危険意識、年々減少する傾向に

駅のホームの歩きスマホは危険(写真はイメージ)
駅のホームの歩きスマホは危険(写真はイメージ)

   スマホ依存の自覚がある人は、依存から抜け出す必要があると思っているのだろうか。

   「抜け出す必要があると思っている」人(7.4%)と「やや抜けだす必要があると思う」(42.5%)を合わせて、49.9%が「抜けだす必要がある」と答えた。一方、「抜けだす必要はないと思う」(11.3%)、「あまり抜けだす必要はないと思う」(38.9%)を合わせて50.2%が「抜けだす必要はない」と答えた=図表4参照。回答が2分される興味深い結果となった。

(図表4)スマホ依存から抜け出す必要があると思うか(MMD研究所の作成)
(図表4)スマホ依存から抜け出す必要があると思うか(MMD研究所の作成)

   「スマホ依存」とともに「歩きスマホ」も社会問題になっている。

   東京消防庁によると、東京都内では2016年~2020年の5年間で「人・モノ・車・自転車にぶつかる」「転ぶ」「落ちる」といった「歩きスマホ」の事故で196人が救急搬送されている。うち27人が入院の必要な中等症・重症だった。

   今回の調査でも、歩きスマホに対する危険意識を聞いている。それによると、「危ないと思う」(61.7%)と「やや危ないと思う」(29.2%)を合わせて90.9%が「危ない」と回答した。しかし、MMD研究所は毎年同様の調査を行っているが、2019年の調査より5.7ポイント減となり、「危ない」と答える人の割合は年々減少しているのが実態だ=図表5参照

(図表5)歩きスマホへの危険意識の推移(MMD研究所の作成)
(図表5)歩きスマホへの危険意識の推移(MMD研究所の作成)

   「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という言葉があるが、「歩きスマホ」が珍しくなくなると、危険意識もマヒしてくるのだろうか。

   調査は、2022年10月11日にスマホを所有する15歳~69歳の男女559人を対象にインターネットでアンケートした。

(福田和郎)

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