積み増した4兆円は「かつてなら経済対策全体の規模に匹敵する額」
コロナ禍が徐々に落ち着いているにもかかわらず、今回の対策規模はそれに次ぐ大型になった。ウクライナ侵攻などによる資源などの価格上昇と円安の相乗効果により物価が高騰しているため、その対策が待ったなしではある。とはいえ、必要な事業を精査して積み上げた形跡は見えない。
ある経済官庁幹部は嘆く。
「コロナをきっかけに、財政のたがが完全に外れてしまった。首相が積み増しを指示した4兆円は、かつてなら経済対策全体の規模に匹敵するとんでもない額だ。それ一つ見ても、首相のアタマから『財政』が抜け落ちていることが分かる」
与党関係者からも、「経済対策を大盤振る舞いしても、それが支持率回復につながった例はない」と岸田首相を突き放す声が聞こえる。
政権が沈みつつあるなか、与党の要求を丸のみした首相は、まさに藁をもつかむ、哀れな姿を晒しているようにみえる。(ジャーナリスト 白井俊郎)