経済ってどういうこと?...「100人の島で起きた出来事」にたとえると、よくわかる!【尾藤克之のオススメ】

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   経済を理解すると、見える世界が変わってきます。円安と物価高が続き、経済への関心が高まっている今、苦手意識を持つのではなく、身近なものとして理解しなければなりません。今回紹介する一冊は、日本や世界のお金の動きを「100人の島で起きた出来事」としてまとめ解説した作品です。

「東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった!」(ムギタロー・著、井上智洋・監修、望月慎・監修)サンクチュアリ出版

100人の島では、役割分担を決めながら暮らしている

   100人の島は、一人ひとりが自給自足しているのではなく、みんなで協力して、役割分担を決めながら暮らしています。住民が取引をするためには、お金が必要になります。住民同士が仲のよい家族のような関係だったら、お金は不要ですが、それは現実的ではありません。

   人口が100人もいると、トラブルも発生しやすくなるからです。「食料をたくさんよこせ!」「交換しろ!」などの不平不満の高まりを抑え込むには、やはりお金の存在が必要。「人が多いほどバランスよく分配することが難しくなる」と著者も指摘します。そこで必要になるのが、暮らしに必要なルールづくりです。

   住民はリーダーを選びます。100人を束ねるにはリーダーの存在が不可欠です。リーダーが「あなたは成果が出ていないのでイモ1個」「あなたはよく働いたのでイモ10個」などと決めていくことにしました。しかし、リーダーが誰からも信頼される人でないと、このような運用は上手くいきません。

   「100人の島を暮らしやすくするため」にはどのようなシステムが必要になるのでしょうか。それは、国です。住民たちはまず、基礎となる「国のルール」を決めました。「住民のルール」も必要です。さらに、住民たちは「お金」というアイテムを取り入れました。「お金」があることによって、もめることは少なくなります。

   イモをいっぱい食べたい人はたくさん働いて、お金を稼いで、たくさん買えばいいだけだからです。ルールが運用されお金があることによって、「モノやサービスの分配」だけでなく、「役割分担」の問題も解決されました。

会社組織も同じ...リーダーは進むべき方向性を示して

   ルールの必要性は、会社をみればよくわかると思います。ビジョンやミッションがきっちり定義され浸透している会社は、トラブルやピンチにも強いことに特徴があります。さらに、リーダーが目指す方向性を示すことで、一丸となって目標に向かうことができるでしょう。

   子供も大人も、多くの人が経済の仕組みをきちんと把握せず、誤解したまま生きていませんか。問題は、経済の仕組みを理解していないため、全体が見えていないことです。

   誰もがお金の役割や価値、国の意義について理解すればモノの見方が変わります。法治国家の「国」とはどのようなシステムなのか。国と貨幣の関係について望ましい形とはなにか。自由や平和とはなにか。国による権力とは一体なにか...。本書を一読すれば、認識が新たになることでしょう。

   本書は、中高生から大人まで、誰でも「経済が分かる」内容になっています。難しい「経済の仕組み」を「100人の島」でたとえることによって、シンプルに理解できる一冊です。

(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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