食品の値上ラッシュが止まらない。
帝国データバンクが2022年11月1日に発表した「特別企画:『食品主要105社』価格改定動向調査(11月)」によると、11月中は、赤ちゃんの粉ミルクなどの乳製品や、冷凍食品など生活に直結する338品目の値上げがある。特に乳製品は買い置きが利かないため、消費者の心理的な打撃が大きい。
また、来年(2023年)に値上げを予定している食品は、今年10月末時点で2000品目を超えそうな勢いだ。
粉ミルク、ベビーフード、調味料、冷凍食品、介護食まで
報道をまとめると、すでに11月中の値上げを発表している主な食品は次のとおりだ(価格は税抜き)。
【乳製品】
明治:115品目。牛乳や乳飲料が2.8%~5.5%、ヨーグルトが3.6%~6.3%、乳幼児用粉ミルクが7.4%~7.5%。これらの値上げは2019年4月以来、3年半ぶり。
森永乳業:80品目。牛乳やヨーグルトなど3.6%~10.2%。
雪印メグミルク:67品目。牛乳や清涼飲料、ヨーグルトなど4.0%~12.5%、宅配商品は5.3%~8.3%。
【調味料・即席みそ汁・ジャムなど】
エバラ食品:29品目。「焼肉のたれ」シリーズの一部やカレーフレークなど約7%~38%。「焼肉のたれ」の値上げは32年ぶり。主力ブランド「黄金の味シリーズ」は対象に含まれない。
ハナマルキ:30品目。即席みそ汁など約5%~15%。
ミツカン:33品目:たれや酢を使った飲料など約5%~13%。
永谷園:25品目。お茶づけや即席みそ汁など約5%~11%。
アヲハタ:43商品。ジャムやスプレッドなど約4%~12%。
【スナック菓子】
カルビー:30品目。「かっぱえびせん」など約10%~20%。対象商品の大半は今年6月に値上げや内容量減の実質値上げを行っており、今年2回目の値上げ。
湖池屋:5品目。「スティックカラムーチョ ホットチリ味」など約4%~9%。内容量を減らす商品も。
【冷凍食品】
東洋水産:ライスバーガーや枝豆、ほうれんそうなど一部の商品で約10%~22%。
【飲料】
大塚製薬:4品目。炭酸飲料など約14%。主力の「オロナミンCドリンク」は105円から120円に。同商品の値上げは1997年以来、25年ぶり。
ヤクルト:48品目。「タフマン」など清涼飲料約5%~10%。
【ベビーフード・介護食】
アサヒグループ食品:491品目。「和光堂」などのブランドで展開するベビーフード、サプリメント類など約2%~13%。
キユーピー:145品目。ベビーフード、幼児食、介護食など約2%~15%。
日清シスコ:6品目。子ども向けのコーンフレーク約10%~20%。
【酒類】
月桂冠:150品目。日本酒やリキュール、輸入品酒など約3%~14%。
......などといった案配だ。
11月の値上げ、多い食品分野は調味料338品目、乳製品318品目...インパクト大きく
帝国データバンクの調査によると、10月のピーク(合計6699品目)をピークに、「値上げラッシュ」の大波は過ぎたものの、11月もまだ食品の値上がりは続く。
上場する主要飲食料品メーカー105社に価格改定計画(値上げ、実施済み含む)を聞くと、10月末までに累計2万743品目の値上げが判明。11月単月では、833品目が計画されている=図表1参照。
11月の値上げ品目が最も多い食品分野は調味料の338品目で、全体の約4割を占めた。焼肉のたれ、だし製品といった品目で目立つ。次いで多いのが、乳製品で318品目だ。飼料価格の高騰を背景に、牛乳、チーズ、ヨーグルト、そして乳幼児向けの粉ミルク製品まで、いっせいに価格が引き上げられる=図表2参照。
乳製品の値上げで中心となる「パック牛乳」は、消費期限が短いため買いだめができず、また、購入頻度も高いため、値上げによる消費者の心理的なインパクトは年内でも最大級になりそうだ。
帝国データバンクではこうコメントしている。
「消費者のインフレ実感は、11月以降値上げされる『パック牛乳』など日配品の値上げにより、一気に鮮明化するとみられる。(中略)足元では1ドル150円前後で推移する円安局面のなか、来年の値上げ予定品目数は早くも2000品目を超え、その多くで『円安』が要因として挙げられている。今後も大きく引き上げられる予定の電気・ガス代など、コスト上昇圧力が解消される望みは当面薄いなか、来年2~3月をピークに『値上げラッシュ』が再来する可能性が高い」
(福田和郎)