農協でも不適切販売、流出する職員
「週刊ダイヤモンド」(2022年11月5日号)は、「JAと郵政 『昭和』巨大組織の病根」と題した特集。日本郵政傘下のかんぽ生命保険では不適切販売が発覚したが、全く同じ問題を抱えているのが農協だという。2つの巨大組織の病根に切り込んでいる。
いま、2つの巨大組織から有能な若手職員が流出しているという。たとえば、三重県のJA津安芸では、21年度に職員数235人のうち47人が退職した。中堅若手ばかりを「自爆営業」で苦しめることが原因だという。
かんぽ生命保険で問題になった不適切販売と同様の問題が、農協ではいまだに横行し、しかも農協の不正の方が深刻だと指摘している。日本郵政が扱うのは生命保険が中心だが、農協は生命共済だけでなく、建物更生共済や自動車共済など幅広い商品を扱っており、不正の温床となる領域が広いというのだ。
インサイダー取引が発覚し、辞意を表明した奈良県のJA幹部が半年間も残留し、院政を敷く動きがあると、編集部は問題視している。既得権益を手放さない「老害リーダー」がいることが、2つの巨大組織の共通点だという。
第2特集の「電力崩壊 業界新秩序」も興味深かった。
電力需給ひっ迫と財務悪化という2つの危機に直面する電力業界。11年の東日本大震災までは、東京電力、関西電力、中部電力が「中3社」と呼ばれるトップ3で、このうち首都圏を押さえる東電が絶対王者に君臨していた。だが、その序列は崩れ、実質国有化後の東電は業界序列の外にあるという。
また、15年に設立された火力電力・燃料調達会社のJERA(ジェラ)に注目。東電フュエル&パワーと中部電力の合弁会社だが、発電電力量は国内の約3分の1を占め、業界の「裏ボス」的な存在感が増しているとのことだ。
世界最大級のLNG取扱い量を持つJERAに、多くのエネルギー会社が泣きついてきたそうだ。プロ野球セントラルリーグを冠協賛しているJERAは、もの凄い企業なのである。