仕入価格引き上げなど響いた「スーパー」、復調見られる「コンビニ」
一方で、百貨店以外の小売り業はどうか。流通最大手のセブン&アイHDは、全体では営業収益が5兆6515億円(前年同期比55.0%増)、営業利益が2347億円(同26.1%増)、最終(当期)利益が1360億円(同27.8%増)と、過去最高を記録した。
これは、直接には米コンビニ大手を買収した効果が大きく、営業収益・営業利益をセグメント別にみると、国外コンビニがそれぞれ前年同期の約2倍と好調で、全体を押し上げた。セブン―イレブンの国内コンビニは0.2%増・2.7%増と復調の一方、イトーヨーカ堂などのスーパーは20.7%減・61.0%減と厳しかった。
同じく巨大グループのイオンも、営業収益が4兆4871億円、営業利益が958億円、最終(当期)利益が180億円。今期から会計基準を変更したが、単純比較すると、それぞれ前年同期比3.3%増、23.3%増、約4倍と全体に好調だ。
ただ、セグメント別では、総合スーパー(GMS)が営業収益1兆5988億円(同2.0%減)、営業損益は37億円の赤字(前年同期より123億円改善)と苦戦。また、傘下の食品スーパーのユナイテッド・スーパーマーケット(US)HD(マルエツ、カスミなど)は営業収益が3531億円(会計基準変更のため、単純比較で前年同期比2.1%減)、営業利益が22億円(同57.8%減)、純利益が8億円(同71.3%減)と、減収減益だった。
イオングループでは、こうしたスーパーの不振を、ショッピングモール(営業利益16%増の230億円)、ドラッグストア(同6%増の235億円)などでカバーしたかたちだ。
食品スーパーのライフコーポレーションも、営業収益が3775億円(会計基準変更のため、単純比較で前年同期比2.5%減)、営業利益が89億円(同41.6%減)、純利益が64億円(同40.5%減)と、前記のUSHDと同様に厳しい数字だった。
スーパーは、仕入価格が引き上げられるなか、販売価格抑制に努めたが、来店客数増には結びつかず、電気料などのコスト上昇も吸収できなかったという点で、ほぼ共通する。
コンビニは、前記のセブン-イレブンのほか、ファミリーマートのコンビニ事業は営業収益が2134億円(前年同期比3%増)、本業のもうけを示す事業収益が384億円(微増)と、まずまず。
ローソンも営業収益が4835億円(前年同期比38.6%増)、営業利益が289億円(8.6%増)と好調(会計基準変更のため前期比はいずれも単純比較)で、国内店舗1店舗当たりの売上高(日販)が51.8万円(前年同期は49.7万円)と伸びた。
コンビニ各社は、原料価格の上昇などを受けプラーベートブランド(PB)商品を含め値上げをしたが、それほど大きな影響はなかったとしている。