証券会社レポート、投資判断格下げ...だが、秘める成長力に期待
こうした中、証券会社の見方は厳しくなっている。
大和証券は9月5日配信のリポートで、投資判断を5段階の最上位「1」から上から2番目の「2」に格下げ。9月9日にはJPモルガン証券が、3段階の最上位から最下位に一気に2段階も落とした。
もっとも、製紙各社の中で大王製紙は、なお成長力を秘めているとも見られている。
ペーパーレス化の逆風のもと、トイレットペーパーやティッシュペーパー、紙おむつといった需要が落ちない衛生用紙で、国内首位を誇るからだ。大和証券は格下げしたリポートでも「コスト競争力の高まり次第で再評価は可能とみる」と指摘した。
ちなみに大王製紙は、カジノでの使い込みで失脚した創業一族で元会長の井川意高氏らと経営陣のゴタゴタの後、同業の北越コーポレーションが創業家から保有株を買い取って2割超の筆頭株主となる状態が続いている。
北越側は当初、王子ホールディングス、日本製紙に次ぐ「第3極」を目指したが、北越より規模の大きい大王側の独立意識の強さもあって、再編問題に進展はない。(ジャーナリスト 済田経夫)