中間選挙後の株価は上昇するのが「お約束」だが...
ところで、米中間選挙後の株価の動きはどうなるのだろうか。
「パフォーマンスは好調だ」と指摘するのは、野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏だ。石黒氏のリポート「米中間選挙と米国株の経験則とは?」(10月20日付)によると、中間選挙後の株価上昇は「定番」だという。
「戦後、これまで19回の米中間選挙が行なわれてきました。米中間選挙年の10月末から翌年(大統領選前年)末までのS&P500種株価指数をみると、19回すべてが上昇という結果となっており、同期間の平均上昇率は20%と、パフォーマンスは好調でした=図表3参照」
その理由について、石黒氏はこう推測する。
「米中間選挙の結果を踏まえ、その2年後の米大統領選に向けて、有権者を意識した政策が打ち出されるとの期待が、こうした株価上昇をサポートしているのかもしれません」
ただし、今回も過去の経験則にそって期待できるかどうかは、微妙な情勢だ。
「FRB(米連邦準備制度理事会)をはじめ、各中央銀行がインフレ抑制に向け積極的な利上げを行なっており、こうした動きが世界的な景気後退や信用不安につながり、株価が下落するとの懸念が強いのが現状です。
もっとも米国では、(1)商品価格の上昇一服、(2)供給網の改善、(3)過剰在庫による値下げ圧力、(4)住宅市場の軟化、(5)賃金の伸び鈍化、などインフレ鈍化の兆しがみられることは支援材料です」
このような好材料を並べたうえで、
「投資家心理や待機資金とみられる米MMF(マネー・マーケット・ファンド)残高をみると、市場は過度な悲観状態にあるといえ、米利上げの「嵐」に一巡感が広がれば、今回も中間選挙後の株価上昇に期待が持てるのではないでしょうか」
と結んだ。
(福田和郎)