政府機関の閉鎖や、デフォルトに陥る恐れが...
中間選挙の結果、「ねじれ議会」が生じたらどうなるのか。三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏は、「2022年11月米中間選挙の注目点を整理する」(10月27日付)と、「米国がねじれ議会となった場合の心構え」(10月28日付)という2つのリポートを立て続けに発表した。
そのなかで市川氏は、「実は米国では『ねじれ議会』はよくある現象」だとして、過去のケースを紹介している=図表1参照。
これを見ると、レーガン、ブッシュ(父)、クリントン、ブッシュ(息子)、オバマ、トランプと、直近の7人の大統領の21議会中、実に15の議会で「ねじれ」が生じていることがわかる。今のところ、「ねじれ」を経験していない大統領は、バイデン氏だけだ。
では、「ねじれ議会」になると、どんな問題が起こるのか。
「債務上限問題が浮上するリスクが高まります。債務上限とは、米連邦政府が国債発行などで借金できる債務残高の枠のことです。債務が法定上限に達すると、政府は議会の承認を得て、上限を引き上げる必要がありますが、引き上げられないと、国債の新規発行ができなくなり、政府機関の閉鎖や、債務不履行(デフォルト)に陥る恐れがあります」
実際に政府機関が「閉鎖」に追い込まれたケースは10回あり、今回の中間選挙後も「政府機関の閉鎖リスクには注意が必要」と市川氏は指摘する=再び図表1参照。
こうしたことも踏まえて、市川氏は中間選挙後のバイデン政権の政策について2つのシナリオを予想した=図表2参照。
(1)上院で民主党勝利、下院で共和党勝利
上院の人事承認権を用いた閣僚の指名や大統領令により、民主党色の強い規制強化(環境、ハイテク、金融など)の動きが予想される。
(2)上下両院で共和党勝利
内政でできることが限られるため、通商・外交の積極化が予想されるが、バイデン大統領と共和党の折り合いがつく案件(たとえば、国防費増額など)では話が進む。また、(1)(2)いずれでも、対中外交政策のタカ派的な基本方針は変わらない。