民主党が上下両院で勝つと、逆にバイデン氏が不安定に
一方、共和党側は「共和党員は親が決めた相手でも納得して投票する」という言葉が妥当だそうだ。民主党の大統領に比べると、冷めた恋の落胆がない分、最初の中間選挙で受ける厳しい審判が少ない。
ところが今回、こうした構図が入れ替わったしまったという。吉崎氏は、中間選挙の予測の難しさをこう指摘する。
「民主党支持者がバイデン政権に対して冷淡である反面、『共和党支持者はトランプ氏と恋に落ちている』(トランプ支持者は、そもそも従来の共和党員とは別物と考えるべきかもしれない)。つまり共和党と民主党の熱狂度は、以前とパターンが逆転している」
いずれにしろ、今回は「急激なインフレ」と「トランプ・ファクター」がカギを握りそうだ。吉崎氏は次の3つのシナリオを描いた。
(1)メインシナリオ(民主党が上院、共和党が下院を制す)=確率60%
バイデン大統領が民主党内で求心力を維持する。共和党内では「トランプ氏責任論」が噴出。2024年大統領選に向けて他の候補者の活動が活発化。
(2)リスクシナリオ1(共和党が上下両院で勝利)=同30%
インフレ悪化、ウクライナ戦況悪化などにより民主党が大敗。トランプ氏は2024年に向けて出馬を宣言。バイデン大統領はレイムダック(死に体)化し、内政面で身動きが取れなくなる。民主党内では、新大統領候補者選びが始まる。
(3)リスクシナリオ2(民主党が上下両院で勝利)=同10%
「反トランプ」の民意が思ったより強く、共和党は大敗するが、敗北を認めない候補者が多く、政治的混乱が続く。民主党内では左派の勢力が強まり、新たな財政支出を求めるなど、バイデン政権を突き上げるようになる。
民主党が上下両院で勝利すると、バイデン政権が盤石になるどころか、かえって足元が揺らぐという点がポイントだ。