「空飛ぶクルマ」実用化加速へ、日米当局が「協力声明」署名...2025年大阪万博にらみ

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   国土交通省は「空飛ぶクルマ」をめぐり、米国連邦航空局(FAA)と2022年10月18日、連携強化を目指す「協力声明」に署名した。今後、日米の航空当局が空飛ぶクルマの情報交換や制度整備で協力していくという。

  • 「空飛ぶクルマ」の実用化は近い?(写真はイメージ)
    「空飛ぶクルマ」の実用化は近い?(写真はイメージ)
  • 「空飛ぶクルマ」の実用化は近い?(写真はイメージ)

電池とモーターでプロペラ回して飛行...世界各国で開発にしのぎ

   国交省は2025年の大阪・関西万博で空飛ぶクルマの商用運航を目指している。これには機体、運航、操縦士のライセンス、離着陸場などに関する制度整備が必要で、日米が連携して対応する必要があると判断。両国の航空当局が合意した。

   電池とモーターでプロペラを回して飛行する空飛ぶクルマは、世界各国が実用化に向け研究開発にしのぎを削っている。

   国交省によると、「開発には国際的な制度の調和を図ることが重要で、この分野で先進的な知見を有する米国と一層協力関係を緊密にすることは、我が国の環境整備を加速させる」という。

大量生産へ、米新興メーカーが海外勢初の「型式証明」申請

   日米の航空当局が協力声明に署名した18日には、空飛ぶクルマの開発を手がける米国の新興企業「ジョビー・アビエーション」が、国交省に機体の安全性を証明する「型式証明」の取得を申請した。外国メーカーの空飛ぶクルマが国交省に型式証明を申請したのは初めて。

   型式証明とは国交省が航空法に基づき、航空機メーカーが開発した航空機が安全基準や環境基準に適合していることを証明するものだ。型式証明を得た航空機メーカーは機体を大量生産することができる。

   カリフォルニア州に本社を置くジョビーは2009年の設立で、トヨタ自動車が主要株主となっている。電動モーターでプロペラを回し、ヘリコプターのように垂直に離着陸できるeVTOL(電動垂直離着陸機)を開発中で、米国で機体を製造し、旅客輸送サービスを行うことを計画している。

   計画では全長7.3メートル、全幅10.7メートルで、主翼に4個、機体後部に2個の電動推進ユニット(モーターで駆動するプロペラ)を搭載。パイロット1人と乗客4人を乗せ、航続距離は約240キロという。

国内では、スカイドライブ社が万博会場周辺で「エアタクシー」運行を計画

   日本メーカーの空飛ぶクルマとしては、愛知県豊田市に本社を置く「Sky Drive(スカイドライブ)」が21年10月に国交省に型式証明の申請を行っている。

   同社は18年の設立で、自動車メーカーのスズキのほか、伊藤忠商事、大林組、近鉄グループホールディングス、豊田鉄工、三菱UFJ銀行など多くの日本企業が出資している。

   スカイドライブが型式証明を申請しているのは、ジョビーと同じくeVTOLで、全長9.4メートル、全幅9.4メートル。12個のモーターとプロペラでパイロットと乗客の2人を乗せ、最大巡行速度は時速100キロ、実用航続距離は5~10キロという。

   計画段階ではジョビーの性能がスカイドライブを大きく上回っているが、今後の行方はわからない。スカイドライブは大阪・関西万博の会場周辺で、空飛ぶクルマを「エアタクシー」として運行する計画。21年9月に大阪府・大阪市と連携協定を結び、25年の実用化を目指している。

   同社は「25年の大阪ベイエリアでの事業開始を目指し、現在2人乗りの商用機を開発している。国が定める安全性と環境適合性を証明するため、日々飛行試験を重ねている」とコメントしている。

   日米の2社から空飛ぶクルマの型式証明申請を受理した国交省は「今後、開発の進捗に合わせ、審査を適切に進めたい」としている。

   空飛ぶクルマの実用化に向け、米国の航空当局とも連携する国交省の今後の審査が注目される。(ジャーナリスト 岩城諒)

姉妹サイト