きょうは50代のYさんがいらっしゃっています。
「最近は同僚ともこれからの日本について話をすることが多いです。『このままじゃ、日本はまずい』ってことは、ずいぶん前からわかっていたことでしたが、なかなか私自身も行動していませんでした。日本人個人の学び直しの参加率は諸外国に比べて低いと言われていますが、危機感だけで学ぶのも何か違う気もしますよね。でも、そんなこと言っていられないのかな」
危機感や義務感からでは本当の学びにならない
Yさんは学生の頃、「大学に入るために勉強しなくては」「良い会社に入るために勉強しなさい」などと、危機感や義務感で勉強をしていたのではないでしょうか。当時、勉強したことは、どちらかといえば社会で役に立っていないことの方が多い気もしますよね。
私の場合ですが、学生時代にはまったく歴史に興味がなかったため、学んだはずの日本史や世界史の情報はまったく頭に残っていません(笑)。
もちろん、20代、30代といったキャリア初期の頃には「足りないスキル・知識を身につけなくちゃ」と、危機感から学んで身につけてスキルを高めていたこともあったと思います。
しかし、学生の頃と同じように「今のままじゃまずいから学び直ししなくちゃ」と危機感や義務感から学びを始めても、本当に自分の身につくかといったらわかりませんよね。おそらく学びも続かないでしょう。
大人の学びは「自分が学んでみたい」ものを
大人の学びは、必ずしも「今の仕事に直接つながる」ものでなくてもいいと思います。「興味があること」「やってみたいこと」など、「気になることに興味を持ってみること」からでいいのではないでしょうか。
たとえば、何となく知っているけど、よく知らないことを改めて調べてみるのも面白いかと思います。
数年前から、「サステナブル」「SDGs」といったフレーズを耳にしたと思いますが、実際に理解をしたうえで生活に取り入れている人はそこまで多くはないでしょう。もし、改めてSDGsに興味を持ったとすれば、企業のSDGs取り組み事例を調べたり、そこから私たちがどう行動したらいいのか実際に体験してみたりとすると、楽しみながら自分の中に入っていきそうです。もしかしたら、そういったサービス、仕事に関わることになるってこともあるかもしれませんよね。
私が、学生の頃はまったく興味がなかった歴史について、大人になったら多少興味が湧いてきました。先日、飛鳥時代の名前の由来になった「明日香村」にいった際に、「飛鳥」と「明日香」となぜ漢字が違うのかなども気になってきました(「飛鳥と明日香、なぜふた通りあるのか」など興味がある人はぜひ調べてくださいね)。
興味は湧くと調べて理解が深まるものです。古墳の見学もすごく楽しめて、発掘作業の技術の進歩などにも興味が湧きました。テストのための学びではないので、楽しみながら情報が頭に入ってくるのですね。
学びから人生の幅が広がっていく
直接、今の仕事に役に立たなくても学び方が身についたり、別の分野に興味が湧いたりと、人生の幅が広がっていくかと思います。
気になったことを学んだことで、その分野の仕事についてしまう人もいますよね。旅行先が気に入って移住してしまう人なども。そうやって、自分の人生の方向性をいつの間にか切り開いていっていく人もいるものです。
大人の学びは、必ずしも今の仕事にいかすことだけが目的ではなく、自分の人生を楽しくするものであればいいのではないでしょうか。ぜひ、Yさんも危機感ではなく楽しむことから始めてはいかがでしょう。
(ひろ子ママ)