岸田政権「総合経済対策」は、バラマキのポピュリズム! エコノミストが懸念...「英国トラス前首相退陣とウリ二つ」「円安加速させ、かえって物価高に」

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化石燃料費の補助は円安を加速...「逆効果」

   「電気代・ガス代の支援は、回り回って円安を加速させるため、結果的に物価上昇を招く」と懸念するのは、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏だ。

   熊野氏はリポート「総合経済対策:電気代・ガス代の問題点~価格補助がもたらす隠れた円安圧力~」(10月28日付)のなかで、まず来年(2023年)9月までの「時限措置」とされる電気代・ガス代の支援策を本当に終わらせることができるのか、と疑問を呈する。

「ガソリン・灯油などの価格補助も(今年)1月に始めて、延長に継ぐ延長でその予算は3兆円を超過している。何か出口なき緩和政策に似ている。こうした緊急避難的な対策は、始めるときにきちんと出口を考えていなくては、終わるに終われなくなる」

   そして、化石燃料を使いすぎると、経常収支の赤字が恒常化するリスクがあり、その赤字化が円安を促すため、物価対策として「自己矛盾」だと指摘する。

「実は、最近は経常収支が赤字化している(図表参照)。(中略)原因は、化石燃料の輸入量が多くて、円安になると貿易赤字が膨らむからだ。2011年の東日本大震災以降、原発稼働が停止していることが大きい」
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(図表)急速に進む経常収支の悪化(第一生命経済研究所の作成)
「岸田首相は、冬場を乗り切るために最大9基の原発稼働を再開するように指示を出した。しかし、それだけでは十分ではない。もしも今後、経常収支の赤字が拡大することになると、それ自体が円安圧力になる。円安によって輸入コストが上昇すると、それは物価対策に反する。物価上昇の痛みを、財政を使って緩和することを続けることになりかねない」

   すると、円安スパイラルの悪循環に陥ってしまう。熊野氏はこう結ぶ。

「日本が円安スパイラルに陥らないためにも、電気代・ガス代の支援は2023年9月で打ち切って、その後は過度な化石燃料の消費に依存しない体制を作る必要がある」
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