民主主義が生き延びるためには?
では、「重症」の民主主義が今世紀を生き延びるために、何が必要だろうか?――こう問題提起する。それは、ロシアの自爆的侵略や中国の共産党支配を見ても明らかだが、独裁・専制への回帰ではない。
民主vs.専制の二項対立を超えた民主主義の次の姿への脱皮だとして、民主主義との闘争、民主主義からの逃走、そして、新しい民主主義の構想という流れで論を進める。
まず、「闘争」だ。これは、民主主義と愚直に向き合い、改良しようという試みだ。オンライン投票など選挙制度の改革も考えられるが、実現可能性は低いと見ている。
次が「逃走」だ。どの国も支配していない地球最後のフロンティア・公海の特性を逆手にとって、公海を漂う新国家郡を作ろうという企ては実際にあるという。
「21世紀後半、資産家たちは海上・海底・上空・宇宙・メタバースなどに消え、民主主義という失敗装置から解き放たれた『成功者の成功者による成功者のための国家』を作り上げてしまうかもしれない」