冬の時代が続く、暗号資産(仮想通貨)市場――。そんななか、「今までの下落一辺倒の相場から雰囲気が少し変わってきたのではないか」と見るのは、北海道大学の花野直樹さん。今後の値動きを予想するヒントとして、今年ずっと同じような値動きをしているアメリカ株指数、特にNASDAQ先物に着目しているという。
一方、明治大学の城正人さんは、この10月、仮想通貨市場を騒がせた「Mangoマーケットのハッキング」の話題を取り上げ、その問題点を解説してくれた。
勢いの出ない仮想通貨、トレンドは変わるか?(北海道大学 花野直樹)
トレードに関しては、今週はノーポジで終わりました。今週を簡単に振り返ると、今までのように、相場が大きく動くようなニュースやイベントはありませんでしたが、今までの下落一辺倒の相場から雰囲気が少し変わってきたのではないか、と考えています。その理由を確認していきたいと思います。
まず、ビットコイン(BTC)、イーサリアムを見てみると、下値を切り下げながらも急落があった時点で買いが入って、結局はレンジ内の推移で終わりました。BTCに関しては今年の底値圏内でもみ合っているのですが、正直、仮想通貨のチャートだけを見ても、これが底値固めなのか、レジスタンスラインを抜けて下がっていくのかは僕には判断ができません。単純に出来高が減って、誰もBTCに触っていないのではないか、とも思えてきます。
では、今後の値動きを予想するうえで、今年ずっと同じような値動きをしているアメリカ株指数、特にNASDAQ先物見てみたいと思います。
BTCと打って変わって、米株指数はかなりのボラティリティがあります。先週の、9月の米消費者物価指数(CPI)で今年の最安値を更新する急落をした後、大きく反発し、今週に入ってからは月曜には底値に向けて下がりました。しかし、そこからは反発をして、一週間を通してみると久しぶりに大きく上昇しています。
そして、ニュースを見てみると、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げのペースを緩めるのではないか、というニュース記事もできてきました。テクニカル的には金利を見てみると、まだまだ上昇が落ち着いたとは言えませんが、VIX指数(恐怖指数=株式市場に対する投資家の心理状態を数値で表したもの)は徐々に下がってきています。
これらのことから、市場の雰囲気としては、今までの総悲観からすこし安心感がでてきたように感じます。しかし今週、何度も上昇したのちに跳ね返された11300の価格帯は200週移動平均線と重なる価格帯であるので、来週以降にその価格帯を明確に抜けることができれば、3月や6月のように、ベアマーケットラリー(下落トレンドの最中に反発して、上昇に転じること)が始まるのではないかと考えています。
これらをふまえて、これからの戦略としては株価や仮想通貨の値動きの勢い、ニュースなど総合的に見て、株価が上昇し、仮想通貨もそれにつられて勢いが十分だと判断した時点でロングをしていきたいと思います。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
10月21日現在 9991円
◆池田昇太のワンポイントアドバイス
相場の様子を見ながら、冷静に今後の戦略を立てられているように感じました。たしかに仮想通貨は、株式や金利・物価・景気・為替など、さまざまな要素がからんで値動きするため、情報収集が重要になってくるでしょう。
特に来週以降は、11月3日にFOMC(米連邦公開市場委員会)、8日にアメリカ中間選挙、そして10日にはCPI(米消費者物価指数)発表と重要な指標が続きますので、このあたりで大きく株価が変動する可能性があります。
また、今週(24日週)の話もつけ加えると、日曜からビットコインが徐々に値上がりし始め、26日には2万ドルの価格帯にまで達しましたね。ただ、急な価格上昇でしたので、戻り売りによって再び下落するかもしれないので、注意して価格を見ていきたいところですね。
北大金融研究会の所属。ふだんはテクニカル分析を使った株式の短期トレードをしています。やるからには1位をとれるよう、頑張ります!