人はやらなければいけないと思っていても、なかなか取りかかれないことがあります。一度取りかかってしまえば、すっきりするとわかっていても、それでもできません。このような仕事の先延ばしは、なぜなくならないのでしょうか。
「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(F太著、小鳥遊著)サンクチュアリ出版
「行動力」を奪う要因とは?
先延ばしを好ましいと思っている人はいないと思います。しかし、人は「やろう」と思っていたのに、行動が抑制されてしまうことがあります。このような思考に陥ると、「絶対にやる!」とギアを入れない限り、スイッチがはいりません。なぜ、できないのかでしょうか。これは、感情によって行動力が奪われているからです。
私たちの行動を阻害するものには、何があるでしょうか? いくつかの要因がありますが、仕事の現場において影響を及ぼすものが、「やることをちゃんと把握できていない」というものです。しようと思っていたことを忘れてしまうことです。または、選択肢が多すぎて、絞り切れずに、行動がとれなくなることも該当するでしょう。
もう1つが「気乗りがしない」というもの。会社員であれば、業務命令の遂行は守らなければなりません。しかし、感情が「NO!」と言っているときもあります。「やりたくない」という気持ち、「失敗したらどうしよう」と考えるあまり、行動できなくなることがあります。イヤな上司からの仕事、イヤなクライアントからの仕事などは、やりたくないものです。
日々、仕事や生活に追われて、なにもできなくなると、「あれもそろそろ手をつけないといけないのに...」と思いながらも、ストレスを感じて動きがとれなくなります。
ここで、先延ばしのデメリットを考えてみましょう。
先延ばしを繰り返すと、「どうせ自分にはできっこない」「自分はダメだ」という思考が染みついてしまいます。これでは、仕事において信用を失いかねない問題になりかねません。今の時代、特にスピードが重視されています。先延ばしで信用を失いたくないものです。
また、チャンスがめぐってきていても、優柔不断なままでいたら、チャンスを逃してしまうでしょう。チャンスボールを見逃していては、成功をつかめません。
大切なのは「普通」であること
本書の著者は、F太(えふた)さんと小鳥遊(たかなし)さんです。
F太さんは学生時代からさまざまなコンプレックスを抱きながら挫折をくり返し、いまはTwitterで多くの支持を得ています。フォロワーは約26万人。
そして、小鳥遊さんは、プロフィールによると、発達障害の注意欠如・多動症(ADHD)と診断され、2度の休職を経て、現在は一般企業に会社員として勤務しています。
二人は次のように言います。
自分の弱みはそのままに、仕事の苦手意識はなくすことができる。
必要なのは「やり方」であって「根性」や「心構え」ではない。
本書を読めば、「忘れ物、ミスが多い」「先送りしてしまう」「人間関係がつらい」「片付けが苦手」こんな「しんどい」がラクになる。会社に「居場所がなかった」けれども、仕事で結果を出せるようになったコツが理解できるようになります。
この本で紹介しているのは、仕事をして毎日を「平穏に」過ごせるためのテクニックです。多くの試行錯誤と、数えきれない失敗を経て構築された二人の著者による「新しい仕事のやり方」が惜しみなく紹介されています。
(尾藤克之)