15%ずつの「対等出資」が有力...ただし、ルノーは新設EV会社への出資求める
今回、両社の協議の背中を、2つの大きな要因が押したといわれる。
一つは世界的な電動化、つまり電気自動車(EV)へのシフトの加速だ。
欧州連合(EU)は2035年までにガソリン車の新車販売を禁止する方針で、独フォルクスワーゲン(VW)など欧州主要メーカーはEV開発にしのぎを削っている。ルノーも22年2月、EVを分社化する構想を明らかにしているが、ライバルに対抗するには資金力が不足していると指摘されている。
ロシアのウクライナ侵攻の影響も大きい。
ルノーはロシア市場からの撤退を決め、1~6月の純損益が赤字になるなど、経営が厳しくなっている。日産も同様にロシアからの撤退で特別損失1000億円の計上を発表しているが、ルノーよりは、まだ資金的には余裕がある。
こうしたことから、日産への出資の回収で得られる数千億円規模の資金は、ルノーにとって大きな意味を持つ。
両社の交渉は、互いに15%ずつ出資する「対等」の形にするとともに、三菱自動車を含むアライアンス(連合)を維持することで、大筋一致しているとされる。
ただし、交渉は出資比率だけにとどまらない。
ルノーは新設するEV会社に、日産と三菱の出資も求めており、事実上、ルノーの出資比率引き下げの見返りという位置づけになる。ルノーは日産に5億~7億5000万ドル(750億~1100億円)の出資を求めている、との報道もある。