賃上げできる企業が「有望株」の目安に
「週刊エコノミスト」(2022年11月1日号)の特集は、「市場の選別眼 円安物価高に強い200社」。急激な円安と物価高でも、業績アップが期待できる企業を紹介している。
賃上げに対応できるかどうかが1つの目安だという。
たとえば、アイリスオーヤマは、21年度の売上高が過去最高の2494億円で、増収増益。今春に正社員3538人を対象に3.6%のベースアップと新卒初任給の引き上げを決めた。
国内出荷を強化するため、中国にある4つの工場から、主力商品であるプラスチックの収納用品約50種類の金型を日本の3拠点に移管する。円安の影響などで、中国で生産するよりも2割ほどコストダウンする商品もあるそうだ。
来年の春闘では、賃上げできる企業とそうでない企業に分かれ、賃上げできる企業であれば、業績や採用などでも期待できるとして、有望株を見極める指標にもなる。
円安で増益が期待される企業のリストも載っている。
企業のドル・円の前提などが要素だ。トップになったのは日本電産。1ドル=110円を想定しており、ドル・円ギャップが25.9%と大きく、足元の145円前後で推移すれば、業績の上振れが期待される。
2位のレオン自動機はドル・円ギャップは15.4%ながらも、ドル・円売上高比率が40.9%と高く、円安のメリットが大きそうだ。このほか、ミネベアミツミ、浜松ホトニクスなどが上位に入っている。
◆インバウンドの恩恵を受けると予想される企業
水際対策が緩和され、外国人観光客の姿が10月以降、目に見えて増えてきた。そこで、インバウンドの恩恵を受けると予想される7社を挙げている。
具体的には、過去にも、訪日外国人が業績に寄与してきた「コメ兵ホールディングス」。円安は海外からの輸入ブランド品が割高になる半面、中古品の買い取りが上昇することで、商品を売った人が別の商品を買って帰る好循環につながると見ている。
ネットの格安航空券予約サイトの「アドベンチャー」は、東南アジアには市場を寡占している同業他社は存在せず、事業成長ポテンシャルが高いという。愛知県を中心にホテル事業を展開する「ABホテル」は、今期は第1四半期に過去最高益を更新している。
このほかに、老舗百貨店の「松屋」、外食産業の「ロイヤルホールディングス」、ワシントンホテルなどを運営する「藤田観光」、航空券のオンライン専業旅行社の「エアトリ」も期待できるという。
円安だからと悲観的にならず、その中でも業績アップする企業を見極めることが肝要だ。
(渡辺淳悦)