JIP、20社程度での企業連合を提案か...中部電力、オリックス以外にも出資要請
JIPは2002年に設立され、国内企業を対象に、事業の一部を切り出す「カーブアウト(事業分離)」に強みを持つ投資ファンドだ。
ソニーのパソコン事業を買い取り、14年に「VAIO(バイオ)」を設立するなどの実績がある。みずほフィナンシャルグループ傘下にあったが、2012年3月期にグループから外れ、独立系ファンドとなっている。
とくに、これまでの記事でも指摘してきたように、原発や防衛関連事業など、日本の安全保障に重要な事業を抱える東芝のような企業の買収は、改正外為法に基づく政府審査の対象になる。
このため、外資だけの買収は事実上、困難とされる。そこで、国内勢として、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)中心に展開するとの見方が強かった。
実際に、JIPも当初は、JICと連合を組んで1次入札をクリアした。
しかし、非公開化後の経営を巡る考え方の違いから、連合を解消。JIPは今回、東芝との関係が深い日本企業を中心に、20社程度で企業連合を組む提案をした模様だ。
具体的には、発電用の設備を東芝から調達するなど、取引がある中部電力が1000億円規模を出資する方針とされる。そのほか、オリックスは3000億円規模の出資の意向を示しているという。
JIPはこのほか、JR東海や東レ、日本生命保険などにも出資を要請しているとされる。また、2次入札に進んでいる英投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズとの連携も検討しているという。