J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

注目の「得意を売り買い」、スキルの「マーケットプレイス」運営するココナラ...社員の平均給与はいくら? 気になる業績推移や平均勤続年数もチェック!

   上場企業の財務諸表から社員の給与情報などをさぐる「のぞき見! となりの会社」。今回取り上げるのは、個人の知識やノウハウをオンラインで売り買いできる日本最大級のスキルマーケット「coconala」を運営する株式会社ココナラです。

   ココナラは2011年に、現取締役会長の南章行氏による個人事業として創業。2012年に「coconala」、2016年に「coconala 法律相談」をリリースするなどして事業を拡大。2021年3月には東証マザーズ(現グロース)に上場を果たしています。

  • 今回は「株式会社ココナラ」に注目(写真はイメージ)
    今回は「株式会社ココナラ」に注目(写真はイメージ)
  • 今回は「株式会社ココナラ」に注目(写真はイメージ)

吉岡里帆さんのテレビCMに巨額投じて大幅赤字

   それではまず、ココナラの近年の業績の推移を見てみましょう(2022年8月期は連結、2021年以前は非連結。百万円未満切り捨て)。

   ココナラの営業収益は右肩上がりに伸びています。2022年8月期には38億3700万円と過去最高を更新し、4期前の5倍という順調な成長を見せています。

   その一方で、利益は不安定で、経常利益が黒字になったのは直近5期間で2期にとどまり、残りの3期は赤字となっています。黒字の期も営業利益率が1ケタと低いです。

   ココナラは「得意を売り買い、ココナラ!」、2022年からは吉岡里帆さんの「仕事頼むなら、ココナラ!」といったテレビCMを展開しており、大規模なマーケティング費用をかけています。2022年8月期の営業費用は営業収益を超える43億5900万円にのぼり、このうち広告宣伝費は15億円超を占めています。

   会社は当面この方針を維持するとしており、2022年8月期の有価証券報告書には「短期的なトップライン成長ではなく中長期的な観点で高い成長率を実現できるよう、プロダクト開発およびマーケティング投資を継続」と記されています。

   2023年8月期の連結業績予想は、営業収益が48億円と過去最高を更新する一方、営業利益・経常利益はともに7億円の赤字となると見込まれています。

「coconara Business」でみずほ銀行と業務提携

   ココナラは「ココナラ事業」の単一セグメントですが、決算説明資料では「ココナラ本体」と「ココナラ法律相談」の2つの事業で説明されています。

   2022年8月期の営業収益構成比は、ココナラ本体が34億5500万円で90%を占め、ココナラ法律相談は3億8200万円で10%。ただし前期比伸長率では、ココナラ本体の36.7%増に対し、ココナラ法律相談は83.7%増と急成長しています。

   ココナラ本体事業は、個人のスキル等を出品サービスとして提供しユーザーが購入できるECサービス型スキルマーケットプレイス「coconala」(会員数300万人超)と、ビジネス利用に特化しチームで利用しやすい機能を搭載した購入専用のプラットフォーム「coconara Business」(登録社数2万社超)で構成されています。

   「coconala」のカテゴリ別流通高で見ると、2020年8月期第1四半期には、イラストやWebデザイン、動画などの「制作・ビジネス系」が6.7億円、占いや悩み相談、学習などの「相談・プライベート系」が6.88億円と同規模だったのが、2022年8月期第4四半期には「制作・ビジネス系」が21.08億円が大きく伸び、「相談・プライベート系」の13.29億円に差をつけています。

   2022年10月には「coconara Business」に登録する専門人材をみずほ銀行の法人顧客に告知・利用促進する業務提携契約を締結し、利用促進を図っています。

   ココナラ法律相談事業では、法律トラブルを抱えたユーザーと登録弁護士とをマッチングするWebサービス「coconala法律相談」を運営。弁護士の登録にあたっては無料プランと有料プランがあり、2022年6月には有料登録弁護士が1,000人を突破しています。

   有料プランは成果報酬型ではなく、所定の料金体系に基づいた固定の利用料金が発生します。月額料金は、掲載可能な注力分野の個数や、インタビュー取材記事の作成サービスや掲載写真の撮影サービスの有無、料金表などの詳細情報の掲載可否や、PR枠表示の有無といった内容によって決定されるとのことです。

平均年齢35.6歳、平均年収660万円

   ココナラの従業員数は、2018年8月期の48人から右肩上がりに増加しており、2021年8月期までに65人、93人、136人と急増しています。2022年8月期の決算説明資料によると、正社員+契約社員で177人。うちプロダクト開発に携わる社員は100人を占めています。

   ココナラの平均年間給与(単体)は、2021年8月期は660万6128円。平均年齢は35.6歳、平均勤続年数は2.1年です。

   ココナラの採用サイトを見ると、新卒採用のほか、中途採用で「業務システム開発」「グラフィックデザイナー」「マーケター」「カスタマーサクセス」「フロントエンド/バックエンドエンジニア」「iOS/Androidエンジニア(アプリ開発)」などの募集が行われています。

   どの職種も給与は「ご経験・スキルに応じて検討」。勤務時間はコアタイム10:00~17:00のフレックスタイム制で、書籍購入費支給などの福利厚生があるとのことです。

株価は年初来高値の4分の1まで落ち込み

   ココナラの株価は2022年1月4日に1626円の年初来高値をつけた後、下落傾向が続いており、4月に一時900円台に持ち直したものの、10月3日には年初来安値の417円と年初来高値の4分の1近くまで落ち込みました。

   しかし、10月14日の2022年8月期決算短信で特別損失を計上し、創業者である南氏の代表取締役退任が発表されると株価は反発。現在は500円台で推移しています。

   南氏の代表取締役退任で、ココナラは元リクルートで2016年入社の代表取締役社長CEO鈴木歩氏の代取1名体制となります。

   ココナラは営業収益を順調に伸ばしているものの、多額の広告宣伝費をかけていることもあって赤字経営が続いており、株価も低迷しています。今後どのような形で利益を生み出せる体質に変われるのか、注目されます。

(こたつ経営研究所)