きょうは50代のSさんがいらっしゃっています。
「予測不可能な時代には、これまでの成功体験や経験は通用しないと言われています。私は恥ずかしながら明確にやりたいこともなく、目の前のことに向かっていたら、今のポジションになっていたというような感じですね。これからのキャリアは、どのように歩んでいくのがいいのでしょうかね?」
「明確なキャリアパス」が描きにくい時代
終身雇用が一般的だった頃は、5年、10年後のキャリアパスが描きやすい時代でした。しかしながら現在は、1年先、半年先がどうなっているかも、なかなか想像ができない時代になりましたよね。
ここ数年は、コロナ禍、円安、物価の高騰など、私たちも身を持って変化を体験したように、在籍している会社も、数年後はどうなっているかも分からない時代でもあったりしますよね。
そこで、スタンフォード大学のクランボルツ教授らが提唱した「計画的偶発性理論」を紹介します。この理論では「キャリアの8割は、偶発的な出来事で決まる」とされています。
「キャリアパスを描かずに、偶然に身を任せればいいの?」とも捉えられそうですが、そうではありません。キャリアパスを明確に描くのではなく、狭めすぎないようにすることで、キャリアが開かれていくということを指しています。
「目の前の仕事に集中する」...その本当の意味とは
「目の前の仕事に集中するとチャンスを掴みやすい」というようなフレーズを一度はどこかで耳にしたことがあるでしょう。
ただ、これは目の前の仕事を淡々とこなして、「毎日ルーティンの仕事を集中して続けているのに、何も変わらないよ」ということではありません。目の前の仕事で起きていること、変化に対応しながら、集中して取り組む姿勢が大事なのです。
目の前の仕事に集中すると同時に、「自分の中で目標を狭めすぎないで、新しいことを受け入れる」「予想外の出来事に前向きに対処する」というような心持ちが大切です。
目の前にやってきたチャンスを掴むには
よくチャンスを掴む人・掴めない人というフレーズで比較されていることがありますが、
やはりチャンスを掴んでいる人は、さきほどの心持ちと共に、好奇心や冒険心を持って働いているという共通点があります。日頃から好奇心や冒険心があることで新しいことや変化に対してアンテナが張っているんですね。
同じ仕事を担当していても、その仕事に対してのちょっとした変化に気づく方もいれば、何も気づかない方もいます。その変化に対してのちょっとした対応の差で、将来に大きな差が生まれてしまうのです。
顧客の属性の変化に対しての対応方法によって、営業成績にも差が生まれるというようなものですね。変化の激しいこの時代には「柔軟性」を持って対応することが大事なのです。
目標を持ちながら、好奇心や冒険心を持って、目の前の仕事に集中して取り組んだ結果、「目の前にやってきた新たな仕事」「目の前にやってきた出会い」などに気づくことができ、挑戦できるようになります。
やったことがない新しいことを始める前は「これをやったらどんな意味があるんだろう」と思うこともあるかもしれません。しかし挑戦したことによって、別の業務のプラスになったり、今の自分の仕事の幅が広がったりと、「あの時、あの仕事を受けてよかった」と思うことがあるはずです。
一見つながりのないように見える仕事も、後々につながっていくことは実はよくあります。さきに紹介した「キャリアの8割は偶発的な出来事で決まる」というフレーズは、やはり目の前のことに集中することで起こりうる出来事なんですね! Sさんは自然に、そんな人生を送ってきたのかと思います。このまま、チャンスを掴みながら進んでいきましょう!!
(ひろ子ママ)