政府・日銀「夜討ち朝駆け」為替介入、金融市場パニック!? NYで「深夜」、東京で「あさイチ」...エコノミストが鑑定、「伝家の宝刀」切れ味は?

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

タイミング絶妙...金融市場を驚かせた4つの理由

虎視眈々と財務省のスキをうかがうウォール街
虎視眈々と財務省のスキをうかがうウォール街

   一方、金曜の「深夜介入」については「短期的な影響としては予想外に効果が大きかった」と驚いたのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏はリポート「為替介入の実施で一時円安の修正が進む」(10月24日付)の中で、「東京市場の時間帯ではなく海外市場の時間帯で為替介入が行われたこと」に驚いたという。木内氏は、

「海外市場の時間帯での為替介入は、海外の中央銀行に委託して行う『委託介入』が一般的だ。各国が協調して為替介入を行う協調介入の場合には、この委託介入を行うことが容易だ。しかし、今回のような単独介入では、他の中央銀行に為替介入を委託するのは簡単ではない。一部報道によれば、欧州中央銀行(ECB)は、21日に為替介入を実施していないことを明らかにしている。米連邦準備制度理事会(FRB)が日本からの強い要請で委託介入を実施したのだろう」

と推測する。

株価が乱高下するニューヨーク証券取引所
株価が乱高下するニューヨーク証券取引所

   もう1つ、木内氏が驚いたのは、普通為替介入の効果は初回(9月22日、一時5円程度円高)が最大であるという原則から外れて、2回目(10月21日、一時7円程度円高)のほうが大きかったことだ。

   効果が予想外に大きかった理由は4つある、と木内氏は指摘する。

(1)為替市場は東京市場での為替介入を強く警戒していたため、海外市場での為替介入実施はサプライズだった。
(2)東京市場と比べて海外市場ではドル円の取引は少ないため、為替介入の効果が大きく出やすかった。
(3)為替介入の規模が大きかった可能性がある。
(4)タイミングが絶妙だった。ちょうど米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が、「FRBが利上げペースの縮小を議論する」との観測記事を発表、米国の長期金利が低下し、ドル安円高の圧力が生じた瞬間に合わせて為替介入が行われたため、効果が高められた。

   タイミングといえば、10月24日の「あさイチ介入」も午前8時半に東京外国為替市場が開いた瞬間だった。

   ただし、木内氏はこう結んでいる。

「今回の介入によって一時的には円安の流れが食い止められたが、その効果が持続することはないだろう。日本銀行が為替の安定に配慮する金融政策に修正することがない限り、政府による為替介入だけで円安の流れを止めることは難しい。 円安の流れを変えるのは、FRBの利上げ姿勢の変化である。FRBが利上げのペースを明確に縮小させるとの見方が広がれば、米国長期金利の上昇が一巡し、日米長期金利差の変化に大きく影響を受けるドル高円安の流れも一巡するだろう」

(福田和郎)

姉妹サイト