市場参加者の疑心暗鬼募らせる作戦?
こうした相次ぐ政府・日銀の「覆面介入」をエコノミストはどう見ているのだろうか。
日本経済新聞オンライン版(10月24日付)「円急伸、一時1ドル145円台に 市場では為替介入観測も」という記事に付くThink欄の「ひと口解説コーナー」では、日本経済新聞社特任編集委員の滝田洋一記者が、
「(1)週明けの為替市場でも円相場は乱高下。再び円買い介入の観測が出ています。1ドル=150近辺まで円が押し戻されたのですから、そこを叩く円買い介入があったとしても不思議はありません。実際は薄商いのなかのプログラム・トレードかもしれませんが、市場参加者の疑心暗鬼は募ります」
と指摘。そのうえで、
「(2)ポイントは市場のドル買い需要の根強さと値ごろ感。150円より円高・ドル安ならドルは買いとみる市場参加者が多いようだと、円買い介入の効果は限定的。『公園でハトに餌を与えると、ハトがどんどん集まってくる』ような事態を招くことも考えられます。(3)財務省が介入の剣を抜いた以上、今週も当局と市場参加者の攻防が続きます」
と、説明した。
介入によって、ドル安に振れると、逆にドルが買いやすくなるため、投機筋を呼び寄せてしまう「イタチごっこ」が続くというわけだ。
ヤフニュースのコメント欄では、時事通信社解説委員の窪園博俊記者が、
「かなり激しい値動きからみて、政府・日銀が円買い・ドル売り介入を行った可能性は非常に高いとみられます。先週末の介入で、ドル円を大きく押し下げたものの、週明けの早朝にドル円は買い戻しが入り、1ドル=149円台まで戻していました。このまま放置すると、再び150円の大台を回復し、さらに上値を切り上げる可能性があったのは事実です」
と説明。そのうえで、鈴木財務相が介入の有無についてコメントを避けていることなどを引き合いに、
「投機筋との戦ううえでは、自ら手口を明らかにするのは得策ではない、と言えるでしょう。政府・日銀は懸命に介入していますが、介入はしょせん対症療法に過ぎず、効果は一過性にとどまります。また、円売りの介入は、保有外貨が上限となるため、そう何度もできるものでもないことは念頭に置いたほうがいいでしょう」
と、効果は限定的であるとした。