注意すると、すぐに「パワハラ」と言い立てる部下...どう対応する?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE 14(後編)】(前川孝雄)

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褒めることは大切だが「褒めすぎ」に注意

   一方、怒るというのは、叱るのに比べると感情的な度合いが高いといえます。「上司たるもの、叱るのはいいが怒ってはだめ」とアドバイスする人もいます。

   しかし私は、上司が本気で怒ったときは、感情を出してもいいと考えています。ただし、これも「部下のためを思えばこそ」という条件付きです。部下を思ってなら、烈火のごとく怒っても気持ちが伝わります。私は、本物の優しさは厳しい愛だと考えています。

   他方、褒めることに関しては、近年非常に大事との認識が広まっています。褒め方に関する検定が設けられるほどです。多くのベテランマネジャーが、「とにかく部下を褒めなければ」と躍起になっている会社もあります。

   褒める事は確かに大切ですが、「褒めすぎ」にも注意が必要です。

   これは心理学者A・マズローの欲求5段階説にある「他人から尊敬されたい、自分を価値ある存在だと認められたい」という「承認欲求」と関係します。組織学者・経営学者である同志社大学の太田肇教授は、その著書『「承認欲求」の呪縛』(新潮新書)で、現代人が承認欲求に縛られて身動きがとれなくなっていると指摘しています。

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