携帯電話料金の値下げ競争がひと段落した今、携帯大手のサービスプランの利用者が一番多いのはどこだろうか、また「満足度」が高いのはどこだろうか。
モバイル専門の市場調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が、大手9つのサービスブランドのユーザーを対象に行なった「2022年9月MNOのシェア・満足度調査」を、2022年10月20日に発表した。
シェア1位になったのは「docomo」だが、「総合満足度」では下から3番目の7位に。また、「総合満足度」で1位になった「LINEMO」はシェアでは最下位の9位。携帯電話サービスは、圧倒的な王者がいない、大混迷を極める結果になった。
3割のシェアの「docomo」、追う「au」は18%
MMD研究所の調査は、スマートフォンを所有している18歳~69歳の男女3万6535人を対象に行われた。
調査対象となったサービスブランドは、携帯電話大手4社の「docomo」(NTTドコモ)、「au」(KDDI)、「SoftBank」(ソフトバンク)と、格安系ブランドの「ahamo」(NTTドコモ)、「povo」(KDDI)、「UQ mobile」(同)、「LINEMO」(ソフトバンク)、「Y!mobile」(同)、「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」(楽天モバイル)の9つだ。
まず、メインで利用しているサービスを聞くと、1位「docomo」(29.2%)、2位「au」(18.0%)、3位「SoftBank」(11.5%)、4位「Y!mobile」(9.5%)、5位「Rakuten UN-LIMIT」(7.5%)、6位「UQ mobile」(6.5%)、7位「ahamo」(4.8%)、8位「povo」(2.1%)、9位「LINEMO」(1.1%)という結果になった=図表1参照。
シェアでは「docomo」がダントツの3割近くを占め、2位以下を大きく引き離している。
続いて、サブ利用している人にそのサービスを聞くと、1位「docomo」(20.3%)、2位「Rakuten UN-LIMIT」(14.2%)、3位「au」(12.9%)、4位「SoftBank」(9.0%)、5位「Y!mobile」(6.9%)、6位「povo」(6.2%)、7位「ahamo」(4.4%)、8位「UQ mobile(4.0%)」、9位「LINEMO」(2.1%)という結果になった=再び図表1参照。
それぞれ、従来プラン、オンライン専用プラン、キャリアサブブランドを組み合わせて利用していることがうかがえる。
おススメ度1位は「ahamo」、2位は「LINEMO」
さて、利用しているサービスの「満足度」を、「料金部門」(安さ、プランの分かりやすさ、お得さ)、「サービス部門」(提供端末やオプションプランなどの豊富さ)、「通信品質部門」(データ通信速度、つながりやすさ)、「顧客サポート部門」(情報の豊富さ、サポート対応の良さ)の4部門でそれぞれ聞き、合計ポイントで「総合満足度」を調べた。その結果は――。
1位「LINEMO」(738ポイント)、2位「ahamo」(734ポイント)、3位「「UQ mobile」(733ポイント)と続き、「SoftBank」(630ポイント)が最下位に。それぞれの部門別では、「料金」が「LINEMO」、「サービス」と「顧客サポート」が「Y!mobile」、「通信品質」が「ahamo」がトップとなった=図表2参照。
「Y!mobile」は「サービス」と「顧客サポート」で1位を獲得したが、「料金」(5位)で振るわなかったため、「総合満足度」で4位という結果に。逆に、「LINEMO」は「サービス」で8位になりながら、「料金」(1位)で大きくポイントを稼いだことが「総合満足度」1位を導いたようだ=再び図表2参照。
また、「家族や友人など他人にオススメしたいか?」を知るための「顧客推奨度」(NPS)も調査した。携帯電話サービスプランは好き嫌いに個人差が大きく、どちらかと言えば「辛口」の評価が多い。そのため、「推奨者」(9~10点)と「中立者」(7~8点)と「批判者」(0~6点)の採点を出し、「推奨者」の点数から「批判者」の点数を引いた数値でのランキングとした。
その結果、「ahamo」がマイナス6.3で最も高い数値となり、2位は「LINEMO」(マイナス8.7)だった。この2トップが群を抜いて「批判者」が少なく、「中立者」と「推奨者」が多くてバランスがいいいため、「おススメ度」が高いと判断された。最下位は「SoftBank」(マイナス49.3)だった=図表3参照。
調査は2022年9月17日~9月22日、スマートフォンを持つ18歳~69歳の男女3万6535人を対象に行なった。また、予備調査として9つのサービスの利用者それぞれ300人を選び、サービス内容の満足度などを聞いた。予備調査は人口構成比に合わせるウエイトバック集計が用いられた。
(福田和郎)