円安ついに1ドル=150円突破! 年末に160円?なぜ為替介入しない? エコノミストが読む...財務省の狙いは「時間稼ぎ」、米国の制約あった?

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「お互いに胸の内を読む局面、妙に静かな150円超え」

   はたして財務省は介入に動くのか、動けない理由があるのか、あるいはすでに動いているのか。エコノミストはどう見ているのか。

   日本経済新聞オンライン版(10月20日付)「円下落、一時1ドル150円台 32年ぶり円安水準」という記事に付くThink欄の「ひと口解説コーナー」では、日本経済新聞社特任編集委員の滝田洋一記者が、

「(1)円買い介入が効果をあげるには、市場参加者のドルの買い持ちが膨らんでいる必要があります。市場の側もそれを承知しているからこそ、抜き足差し足のドル買いとなっている。お互いに胸の内を読む局面だから、妙に静かな150円超えになりました」

と、財務省と市場の「攻防」を説明。そのうえで、今後カギとなるポイントを、

「(2)円売り・ドル買いに出ている市場参加者が凝視するのは、日本の10年物国債の利回りです。それは昨日に続いて日銀が上限としている0.25%を上回りました。(3)為替市場で政府・日銀が円安防止を狙った円買い介入を実施しつつ、債券市場では日銀が長期金利抑制に動く――市場が突くのはそんな『ねじれ』です。10月28日の日銀の金融政策決定会合に向けて、円売り、債券売りが続きそうです」

と予想した。

株価下落を繰り返すニューヨーク証券取引所
株価下落を繰り返すニューヨーク証券取引所

   ヤフーニュースのコメント欄でも、三菱UFJリサーチ&コンサルティング小林真一郎氏も、10月27、28日の日本銀行の金融政策決定会合がポイントになるとした。

「150円という大きな節目を越えたうえ、警戒していた大規模な為替介入が見送られており、円を売り込みやすくなっています。介入が実施されれば、円の下落もいったん止まるでしょうが、日米両国の金利差拡大というファンダメンタルズに変化がない限りは時間稼ぎにしかなりません」

と、介入の効果は期待できないとの見方を示したうえで、

「(10月20日発表の)貿易赤字の拡大でも示されたように、財の取引において大幅なドル不足・円余剰の状態にあることも円売り材料です。(中略)日本銀行の金融政策決定会合では、現状の緩和策が維持されると思われますが、そこでの黒田総裁の発言にも注意が必要です。金融緩和維持を改めて強調してマーケットを煽るような発言が飛び出せば、一段と円安が進むリスクがあります」

と、日本銀行の「黒田発言」が要注意だとした。

   一方、同欄では、日本総合研究所上席主任研究員の石川智久氏が、「原資は無限にある」という財務省の「神田発言」も問題があるとした。

「確かに外貨準備や各国中央銀行との通貨スワップを使い、協調介入などができれば、かなりの介入はできると思います。もっとも、こうした行為は市場メカニズムを歪ませてしまうリスクもあります。
また、通貨は日本だけの事情で決まるのではなく、通貨間の力関係で決まり、過度な介入は他国に迷惑をかける可能性もあります。政策当局としての本気度を示したものと考えられますが、実際のところ介入には限度があります。結局のところ、日本経済の回復を進めて、金利引き上げが展望出来ない限り、円安傾向は続くと見られます」
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