新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和されて、訪日外国人旅行客が戻ってきました! テレビでは、観光地を訪れたり、買い物にいそしんだりと、久しぶりの日本をエンジョイする外国人観光客の姿が、連日のように映し出されています。
歴史的な円安の恩恵も重なって「ニッポンはパラダイス」なのかと思いきや、海外メディアには意外な反応が紹介されていました。
果たして、インバウンド観光は復活となるのでしょうか?
英通信社、「日本はゴーストタウンだ!」記事を世界に発信
入国者数の上限が撤廃され、個人の外国人旅行客の入国も解禁されるなど、2年ぶりにほぼコロナ禍前の状態に戻った水際対策。岸田首相が、「年間5兆円超の外国人消費額を目指す」と表明するなどインバウンド観光の復活に、熱い視線が注がれています。
テレビや新聞では、「解禁」を待っていたかのように日本を訪れて、「円安サイコー!」と「爆買い」をする外国人観光客を紹介しています。
たしかに、驚異的なスピードでインフレが加速している米国や欧州と比べると、日本では何を買っても「激安バーゲン」に感じることでしょう。さらに、歴史的円安となれば、外国人観光客の「興奮ぶり」も理解できます。
彼らにとって、さぞかし日本は「パラダイス」だと思いきや、海外メディアでは日本を訪れた旅行客の意外なコメントが紹介されていました。
'Ghost town': Japan reopens borders, but visitors find hotels short staffed and shops closed up
(まるで「ゴーストタウン」。日本が入国制限を撤廃したが、ホテルはスタッフ不足で店は閉まっている:ロイター通信)
英ロイター通信は、日本は2年ぶりに水際対策を撤廃して国境を「完全再開」したものの、実際は、シャッター街の増加と観光業での従業員不足が顕著で、「threaten the country's hopes for a tourism boom」(観光ブームが訪れるという国の期待を脅かしている)と報じています。
記事では、成田空港に到着したニュージーランド人観光客の「It's like half a ghost town」(まるでゴーストタウンみたい)という驚きの声を紹介。成田空港では、260あるショップやレストランのうち、半分が閉まっているとも伝えています。
さらに、日本国内ホテルの73%が「従業員不足」に直面しているという調査結果と、「コロナ禍の2年間で、多くの従業員がより待遇の良い業界に移ってしまった」と嘆く、ホテル業界関係者の生々しいコメントも紹介していました。
たしかに、先日札幌に出張した時、意外なほど外国人観光客の姿を見かけなかったこと、人気レストランがガラガラだったこと、ホテルが「スタッフ不足」でルームサービスを中止していたこと、を思い出しました。なるほど、そういう状況だったのですね。
日本の報道だけではわからない「訪日観光客ブーム」の意外な一面を、海外メディアから学んだ気がしました。