10、20代の増加傾向気になる...特に、大学生では3年連続増加
自殺者の傾向として、女性の増加とともに懸念されるのが、若年者の増加だ。2021年の年齢階層別の自殺者数を見ると、これまでは40~60代の自殺者数が多かったが、近年は10~30代、特に10代、20代の自殺者の増加が目立つ。
2021年に増加した年代は、20代が前年比90人(3.6%)増、40代が同7人(0.2%)増、50代が同193人(5.6%)増となっている。
ただ、2020年に引き続き増加しているのは20代のみだ。2020年には10代が前年比118人(17.9%)増、20代が同404人(19.1%)増と10代、20代のみが2ケタ以上の大幅増加となっていた=表2。
10、20代の自殺者数を男女別で見ると、男性は10代で前年比40人(8.6%)減少しているが、20代では同15人(0.9%)増加。女性は10代で同12人(3.9%)、20代で同75人(9.0%)増加している。年代では男女ともに20代、性別では女性の増加が目立っている=表3。
10代のほとんど、20代の前半はまだ学生だ。では、学生の自殺者数の動向はどうなっているのか。「学生・生徒等」の内訳をみると、大学生が最も多く、2020年、2021年と400人を超える自殺者が出ている。次いで、高校生が同じく2年連続で300人以上の自殺者となっている。
ただ、自殺者数は100人台だが、中学生も連続で増加しており、2年連続で増加したのは中学生と大学生のみだ。特に、大学生は3年連続で増加しており、増加傾向に歯止めがかからない状況が続いている=表4。
男女別で見ると、男性では大学生の298人、高校生の169人の順だが、大学生は前年比1人の増、高校生は同30人の減となっている。一方で女性は、高校生145人、大学生136人の順となっており、高校生は前年比5人の増、大学生は同18人の増となっている。さらに、女子中学生は3年連続の増加で、増加傾向が強まっている=表5、6。
このように、2021年の自殺者数は前年よりも減少したものの、10代、20代の特に女性の自殺者の増加傾向が続くなど、若年化する傾向が強まっている。
自殺にはさまざまな要因があるものの、若い命が失われることのない社会環境、経済環境を実現していくのが、政治の重大な責務だ。