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日中国交50年 急成長した中国と円安の日本、どう付き合う?【馬医金満のマネー通信】

   みなさん、こんにちは。馬医金満です。

   日本と中国は2022年9月29日、国交正常化から50年の節目を迎えました。日本の技術協力に始まり、経済で相互依存を深めた一方、習近平体制の中国と米国の対立が深まるなか、新疆ウイグル自治区の人権問題への厳しい目や、台湾問題などの安全保障の論点もあり、日中両国の前にはさまざまな課題が存在しています。

   日中間のビジネスについて、見てみました。

  • 日中国交50年、中国とどう付き合う?(写真は、中国・天安門広場)
    日中国交50年、中国とどう付き合う?(写真は、中国・天安門広場)
  • 日中国交50年、中国とどう付き合う?(写真は、中国・天安門広場)

2010年、日中のGDPが逆転!

   日中間の経済協力は、1978年に鄧小平副首相(当時)が来日した時に遡ります。天安門事件で一時期冷え込みましたが、1991年の海部俊樹首相(当時)の中国訪問を経て再び投資熱が高まり、1997年の対中直接投資の実行額は43億ドルと、天安門事件以前の8倍以上に伸びました。

   さらに、中国の成長力と安い労働力を背景に、中国は「世界の工場」として急成長を遂げます。2010年には、日本のGDP(国内総生産)が5兆7590億ドルだったのに対し、中国は6兆871億ドルと初めて逆転。日本は米国に次ぐ「世界2位の経済大国」の座を、中国に明け渡すことになりました。

   もちろん、日本の対中貿易額も対米のそれを上回り、日本にとって中国が世界最大の貿易相手国となっています。

   高成長が続く中国は、「消費市場」としても重要性を増しています。コロナ禍前には、多くの中国人観光客が日本を訪れ、「爆買い」しては帰国。インターネットによる越境オンラインショッピングで、品質の良い日本製品は売れに売れました。

   それにより、中国国内の技術力もどんどん高まっていったといえそうです。安い中国製品が流通するようになりました。

今再び! 中国人観光客のインバウンド消費に期待

   直近ですと、中国の台頭は日中の経済関係の変化にとどまらず、米中の覇権争いにまで波及しています。

   また、新型コロナウイルスの感染対策では、中国が「ゼロコロナ政策」を堅持し、厳しい外出制限などを実施したために、中国からの部品供給が滞り、日本の自動車や家電メーカーの生産・販売に大きな影響が出ました。そういったリスクを踏まえ、日本企業では中国への依存度を下げようという動きも出ています。

   具体的には、働き手が確保しやすく、インフラや物流網が充実しているベトナムやフィリピンなどへの投資が進んでいると、よく聞くようになりました。

   その一方、急速な円安の進展とコロナ禍の制限緩和で、再びインバウンド消費が期待されるなか、多くの中国人観光客が日本にやって来ることが待たれます。日本としては、中国の「ゼロコロナ対策」が早く緩和されて、円安による景気悪化を少しでも和らげたいとの思いが日に日に強まっているのです。

   こうしてみると、経済パートナーとしての中国との関係は今、アクセルを踏むのか、ブレーキをかけるのか、すごく微妙です。今後、中国とどう向き合うのか、どういう付き合い方がよいのか――。

   積極的に中国市場に打って出る分野と、守るべき分野を見極めたうえで、政府や企業が課題を共有し、中国に向き合うことが求められることが考えられます。

   では、また!(馬医金満)